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数学:物理を学び楽しむために

更新日 2020 年 5 月 2 日

(半永久的に)執筆中の数学の教科書の草稿を公開しています。どうぞご活用ください。著作権等についてはこのページの一番下をご覧ください。

これは、主として物理学(とそれに関連する分野)を学ぶ方を対象にした、大学レベルの数学の入門的な教科書である。 高校数学の知識を前提にして、大学生が学ぶべき数学をじっくりと解説する。 最終的には、大学で物理を学ぶために必須の基本的な数学すべてを一冊で完全にカバーする教科書をつくることを夢見ているが、その目標が果たして達成されるのかはわからない。 今は、書き上げた範囲をこうやって公開している。
詳しい内容については目次をご覧いただきたいが、現段階では
  ■ 論理、集合、そして関数や収束についての基本(2 章)
  ■ 一変数関数の微分とその応用(3 章)
  ■ 一変数関数の積分(4 章)
  ■ 常微分方程式(5 章、8 章)
  ■ 座標、ベクトル、線形代数(6 章、7 章)
  ■ ベクトル解析(10 章)
の各テーマについては、ほぼ完成しており、市販されている(優れた)教科書に匹敵する品質になっていると考えている。 これらの分野について学習する方、また、講義や演習を担当される方は、本書を教科書・参考書として用いることを検討してみていただきたい。 2020年3月にようやくずっと懸案だった4章後半の積分の計算の部分を書いたので、(当面の)残りは多変数関数の微分と積分についての9章だけになった。 これもなんとか執筆したいとは思っているのだが、さて、どうなるのだろう?(前書きより)
「物理をやりたくて大学に入ったのに、どうしてこんなに数学をやるんだ」という声を、毎年のように大学一年生から聞く。 われわれの答は、決まっている。 「必要だから。」
物理を語るための言語が、物理を学び研究するための基本の技術が、物理を楽しむための基礎体力が、数学なのだ。 凡庸(ぼんよう)なたとえだけれど、数学という基礎技術なしに物理の世界に入りこむのは、登山の技術ゼロで高い山に探検にいくようなこと、あるいは、水泳経験ゼロで大海原に泳ぎ出すようなことである(脚注:たとえ登山技術ゼロでも、実際に山に行って試行錯誤をつづければ、いずれは登山に必要な体力もつくし、登山の方法を独自に編み出せるはずだと反論する人がいるかもしれない。 それは完璧に正しい。 人類は、まさにそうやって試行錯誤しながら物理や数学を発展させてきたのだ --- 猛烈に長い時間をかけて。)。 だから、数学を学ぼう --- 物理を学び、語り、そして、楽しむために。(1章の冒頭より)

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改訂のたびにファイル名は変わります。リンクしていただく場合は、ファイルにではなく、このページにリンクをはってください(最終更新日 2020 年 5 月 2 日)

最近の主要な更新履歴:
改訂は終わりにしたつもりだったのだが、主成分分析について書いておこうと思っていたのを思い出して 7.6.4 節の最後に書いた。これは簡単だった。

(2020 年 3 月 15 日)


一昨日で改訂を終えたつもりで他の仕事をしていたのだが、テイラーの定理の周辺で気になっていたことがあったのを思い出して、それも一気にやってしまった。

3.3.2 節でテイラーの定理を具体例に適用する部分が今ひとつ練れていなかったので、書き直した。 特に log(1+x) のマクローリン展開の正当化のところは完全にごまかしていたので、ちゃんと証明を書いて、ラグランジュ型の剰余項を使うと証明できないところがあることも正直に書いた。(ここは誰もつっこんでくれなかった。たぶん、ごまかしてる教科書は多いんだろうな。)

積分の基礎についての 4.1 節の最後に 4.1.4 節を付け加えて、微分積分学の基本定理をくり返して使うだけでテイラーの定理(の積分形の剰余項のバージョン)が証明できることを解説した。これは前に黒木さんのツイッターへの投稿で知って、いずれは書きたいと思っていたところなのだ。(ただし、最後に剰余項の形を整える部分の証明は 9 章に書くことにしてごまかしているけど。)

4.1.4 節の後半では、3.3.2 節の宿題だった log(1+x) の展開の話の仕上げも書いた。 (この展開だけを ad hoc に扱いたいならずっと楽なやり方があることを、いま、黒木さんの別のツイートで知った。けど、まあ、この本では一般論の「強さ」みたいなのを見てもらえばいいので、こういう論法は使わないのだ。)

(2020 年 3 月 14 日)


2020年3月は新型コロナウイルスが一気に蔓延した時期で、学会や研究会が軒並み中止になってしまったので、この本の改訂に二日ほどまとまった時間が取れた。懸案だった積分の計算の部分を(まだ例も少ないかもしれないが)ともかく書き上げるなど、いろいろと進んだのであった。(まだ完成しないけれど。)

論理のところに対偶命題についての「意地悪問題(?)」2.1.2i, 2.1.2j を追加した。 命題と対偶命題は同値なのだが、場合によっては(我々には)同値に思えないことがあるという例を挙げてみた。 (このあたりは完全に白石さんの影響を受けてます。)

(3.3.10)で tan x のマクローリン展開を計算してみせるところで、tan x の微分を(全て Mathematica に頼って)頭を使わずに実に愚直にやっていたのを、まともな計算方に変えた。 ミスではなかったけれど、教科書としてはよくなかった(というか、自分で工夫して計算していなかったのがバレバレだった)。 これは誰も指摘してくれなかったなあ。

4.1節に広義積分の短い説明を追加。(それほど大したことではない。)

4.2 節を大幅に加筆。積分の具体的な計算方を例を挙げて解説した。この部分は向田寿光さんの講義ノートにかなり依拠している。 向田んはこの部分を学習院の物理学科の学生に教えてくれているのです。

5.3.3節に「複数の粒子をバネで繋いで落下させる問題」の解説を追加。 これは、もともとは
How Does A Slinky Fall?
という動画で起きていることを理解しようと思って考えたことだった。

7.1.3節の最後のグラム・シュミットの直交化(定理7.8)の証明を計算方としても使えるものに差し替えた。例も書いた。

7.6.1節にシューア分解(定理 7.39)を追加。これに応じて、上三角行列についての記述もあちこちで変えた。

7.6.3節のエルミート行列の対角化の定理(定理 7.44)の証明をシューア分解に基づくものに差し替え。これは見通しがいいですね。

7.8.1節で一般の行列についての det[e^A] = e^{Tr[A]} という等式(定理 7.62)を紹介した。シューア分解で証明する。

(以上のグラム・シュミットの直交化とシューア分解に関連する四つの変更は、白石さんの演習問題に露骨に影響を受けている。 白石さんが出張のときに代わりに演習を担当して解いてみて、これはいいなあと思ったので本に取り入れました。

ついに多変数の微分と積分を扱う9章を新設!! というのは本当だけれど、実際には3章の最後に置いてあった偏微分についてのいい加減な解説を移動しただけ。 なので、9章は本当にこれからです。
とはいえ、この10章までの構成が、この本のとりあえずの最終形だろうと思います。「とりあえずの完成」まで、あと一息か。

(2020 年 3 月 12 日)

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田崎晴明
学習院大学理学部物理学教室
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