史学科 学科紹介

次へ(授業案内)>

カリキュラム

■教育の完成目標

  本史学科では、1年次から4年次にかけての教育指導を、卒業論文という総仕上げに結びつける形で組み立てています。1年次では、「暗記科目」と異なる「探求する歴史学」とは何かということを体験してもらいます。2・3年次には、学術論文の集め方や読み取り方、さらに、史料の読み解き方や証拠としての利用方法など、「探求」の実際的な要領を身につけてゆきます。この過程を通じて、ほんとうに探求したいという魅力を感じるテーマをさがし、4年次には説得力のある研究を行うことを目標にして、卒業論文をまとめあげます。

■「探求する歴史研究」へ

 人間的な力が大きく成長する20歳前後の時期には、脱皮を繰り返すことが大切です。そのためにまず最初に必要なことは、現代の歴史家たちの明らかにしている最先端の成果に触れることです。受験勉強で求められる知識は、学界や社会の共通認識になっている範囲で組み立てられているため、おおむね十数年前からそれ以前の研究成果をもとにしています。高等学校などで教えることのできる範囲も、時間的な制約などからごく限られたものに制限されているのが実情です。
  「最先端の成果はこれまで学んだこととはまったく違っている」、「こんな世界があったなんて知らなかった」。このような、これまでのカラを内部から打ちこわす驚きや感動がみなさんの成長の原動力となります。1年次の専門科目では、このような刺激を感じてもらうことを狙っています。もちろん、みなさん自身がさまざまな文献に触れて感動を味わうことも大切です。どんなことに感動するのかは、人により千差万別でしょう。苦労をいとわず取り組んでみたいと思うテーマは、苦労する当人にしか見つけられないものなのです。
トップへ

■ 1年次 ― 幅広い関心を基礎として深い探求へ ―

 他人から刺激を与えられるだけでなく、各自が自分の関心に沿ってテーマ・問題を探索するためには基礎的な力を養うことも大切です。このため、1・2年次には総合基礎科目と呼ばれる、外国語科目・体育科目をはじめ、さまざまの分野の授業を履修することになります。
  総合基礎科目は大別して、基礎的な力を養う外国語・体育科目と、多様な学問分野や社会的問題の存在に視野を広げる科目とに2分できます。史学科の学生が卒業までに取得しなければならない単位数〔学習の必須総量〕は最低限でも全体として134単位ですが、このうち総合基礎科目に含まれる外国語科目は16単位〔8授業に相当〕、体育科目は2単位〔1授業に相当〕、これ以外の総合基礎科目は16単位〔4〜8の授業に相当〕が必修となっています。これは、卒業に必要な単位数の1/4にあたり、1・2年次に履修することが望ましい基礎的な科目です。
  外国語科目については、大学入学より前に高等学校などですでに習ったことのある外国語を外国語(I)として履修することと、さらに別な外国語を外国語(II)として履修することを義務づけています。東洋史・西洋史など外国史で卒業論文を執筆する場合、その地域の言葉に親しむことも必要です。
  卒業するために必要な学習量のうち残り3/4を占めるのが専門科目です。従来の日本史科目・世界史科目の固定観念から抜け出してもらうため、日本史概説・東洋史概説・西洋史概説のすべてを履修するよう義務づけており、1年次に履修するよう指導しています。これまでの「暗記科目」の要領から脱皮し、世界史を習ったことがなかったけれど東洋史に取り組んでみたいと思うようになったり、日本史を習ったことがなかったけれど日本古代史について深く学んでみたいと思うようになったりすることもあります。3つの概説を必修としているのは、大学で学ぶ歴史の世界を広く知ってもらうのが目的です。
  同じく1年次に履修する専門科目である史学概論・史資料入門は、歴史学の発達してきた流れや、昔の人々の書き残した史料のありかたや、それを扱う際の考え方など、「探求する歴史研究」のあり方を学ぶものです。
トップへ

■ 2年次以降 ― 専攻するテーマへ ―

 2年次以降は、ほんとうに突き詰めて追究してみたいと思う分野のゼミナール〔演習〕で学ぶとともに、各分野の専門的な授業である特殊講義などを履修することになります。2年次以降に履修する特殊講義の場合も、日本史・東洋史・西洋史のすべてについて、それぞれ最低4単位〔通年授業1科目に相当〕を履修するよう義務づけています。他の分野で始まっている新しい研究の潮流や、異なった分野で採られている研究要領を知ることは、自分自身の応用力をひろげるために有益です。
  特殊講義は、専任教員だけでなく学外からお招きしている非常勤教員も担当し、「探求する歴史学」の実際の例を示す授業を行います。これまでの研究がどのように進められてきたのか、そのなかでまだ考え抜かれていない問題がどこにあるのか、それをどのような手順でどのように解決するのか、こういったことを教員の行っている実際の研究に即して示します。試験は、問題のありかとその解決について、自分の考えを述べる論述の形になることが普通です。また、学生自身が調査・報告するレポートを課す教員もあります。
  大学で学び始めると、最先端の諸問題では同じ事柄について研究している人ごとに、意見が異なっていることがある、ということに気がつくことでしょう。こうなってくると、ある問題について何事かを述べている文献を調べ上げ、それぞれの意見の食い違いを確かめてみたいという欲求が芽生えてくるものです。それについて自分はどのように考えるのか決め、それを説得力のある形で提示する。これが3・4年次の目標です。
トップへ

■ 学んでほしいこと ― 証拠と論理 ―

 説得力を身につける、言い換えれば、相手の納得と同意を得られるようになるためには、大きく2つの条件をクリアする必要があります。ひとつは「確実な証拠」を提示して主張すること、もうひとつは「誰が見ても合理的な論理」にのっとって主張することです。卒業論文とは、このために行う試行錯誤の課題であり、書き上げたときには、自分がかつてとはまったく違った存在になっていることを自覚することにもなるでしょう。
  2年次から所属する演習(ゼミナール)は、文献の調査・検討や史料の読解を訓練する場です。日本史・東洋史(中国文化圏)では漢文史料の読解が課題になることが多く、西洋史や東洋史(旧植民地地域)では欧文文献の読解が課題になることが普通です。漢文といっても、時代や地域によってさまざまで、高等学校で学んだものとはかなり異なります。欧文史料も、古い時代の単語は綴りからして現代とは異なるものです。ただし、「知りたい」と思う人にとっては、史料を読解して過去に実在した世界を感じ取ること自体が歓びと感じられるようになるものです。その分野の専門家である教員の指導に従って1年経ってみると、後輩たちに比べて格段に力が付いていることを自覚することができるはずです。
  さて、人を説得する力を身につけるためには、論理的な推論ということも大切です。史学科では1年次から4年次まで、繰り返しレポートの作成と提出が課されます。本史学科で作成するレポートや卒業論文は、これまでの国語学習で学んできた「作文」とは異なるものです。作文では多くの場合、エッセイとして発想や感覚の新しさを表現し、「他の人とは異なる別の感じ方」を表明するものが個性的で良いとされますが、レポートや論文は、数学の論証文と同じように、「誰が読んでもそれに同意せざるを得ない」、普遍的で合理的なものでなくてはなりません。レポートは、これまでの研究や史料を調査して内容を整理し、それについての自分の考えを述べるというものですが、むずかしいことではありません。誰が考えてもそうなるはず、ということが大切なのです。
次へ(授業案内)>
トップへ