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大学院
研究者として、学会あるいは学問共同体の一員を構成すること、これが大学院生にかけられた期待です。学問をこころざす同志としての議論を重ねながら、知の行為をそれこそ古今東西に及ぼして、そして自身の主題にしたがって研究をすすめ、そうしてやがて個々の職場や地域社会で、研究の経験をつうじて文化の生産に参加していくことになるのです。
史学専攻の特色
学習院大学大学院人文科学史学専攻
日本史・東洋史・西洋史3分野を統合した編成をとっており、それぞれの分野を専攻する大学院生が、時代や地域を超えて互いに刺激しあいながら研究・教育を進めています。
研究ではオーソドックスな文献史学の方法論に基礎を置く手堅い実証を重んじていますが、新しい史料の開拓や着想・研究領域・方法論の探求を積極的にすすめて、歴史学の新しい展開を指向する気概を育てることを大切にしています。歴史学の対象は広大で、しかも方法的な進化も多方面にわたっています。自分が研究している分野とは異なる専門性をもった教員や仲間との議論は、かならずや大きな刺激の源になるはずです。このため、課程編成でも、単一の狭い専門分野に「タコツボ」的に没入するのではなく、他の専門分野との交流を積極的に進めることを奨励しています。
本大学院の他の専攻と同じく、早稲田大学・慶應義塾大学・中央大学の大学院と相互交流を行っているほか、国文学研究資料館などの実施する学芸員やアーキビストとしての実務的な技能を養成する講習も積極的にカリキュラムに取り入れています。
カリキュラム
博士前期課程(修士)は定員15名で、大学の教員や研究所の研究員、学芸員など専門的な歴史研究者を目指す学生だけではなく、教員専修免許状の取得を目指す学生や、専門的な勉強を深めてから一般企業への就職を希望する学生など、学部段階よりもいっそう進んだ、専門的な歴史研究の手法を身につけようとする学生を幅広く受け入れる編成をとっています。

博士後期課程(博士課程)は定員3名で、博士の学位を取得して専門度の高い歴史研究者・教育者となることを目指す学生を受け入れる考え方をとっています。
博士前期課程
1年以上在学して、所定の単位30単位以上を取得したうえで、修士論文を提出します。

30単位のうちわけでは、史学専攻の設置科目のうち演習12単位以上を取得することを義務づける他は、履修の制限は比較的緩やかなものです。史学専攻の設置する特殊研究のほか、他専攻設置科目・人文科学研究科共通科目・交流大学院設置科目、指定された学外研究機関の開催する講座を取得して、残りの必要単位を取得することができます。

また、指定された研究機関の開催する課程・講習会などを修了した場合にも、願い出により修了単位として認定することができます。
■交流大学院とは
早稲田大学大学院・慶應義塾大学大学院・中央大学大学院の3つの大学院との間に、博士前期課程の学生の相互交流に関する協定を結んでいます。史学専攻の博士前期課程に在学する学生は、これら3つの大学院で開設されている科目を履修して取得した単位のうち、合計して8単位までを修了単位に算入することができます。
■指定された研究機関の課程・講習会とは
対象となる研究機関とは、本大学院と協議済みの、以下の5つの機関です。
  • 国立歴史民俗博物館〔千葉県佐倉市〕
  • 国文学研究資料館〔東京都立川市〕
  • 国立民族学博物館〔大阪府吹田市〕
  • 国際日本文化研究センター〔京都市西京区〕
  • 日本近代文学館〔東京都目黒区〕
博士後期課程
20単位以上を取得したうえで博士号の学位論文を提出します。

20単位のうち史学専攻の開設する演習で12単位以上を認定されなければなりません。

2008年度から、所定単位20単位を取得したのち3年を超えて博士後期課程に在学する学生については、授業料が半額に減額されることになりました。
■博士論文の提出年限
在学期間のうちに提出するほか、単位を取得して退学したのち3年のあいだに学位論文を提出することができます。
■博士号取得後の待遇
無給研究職
課程博士の資格を取得したのち、願い出により教授会の審議を経て、最長で3年間の無給研究職の資格を得られることがあります。本学教職員としての資格をもち、給与はありませんが、学内の施設を教職員として利用できるほか、学習院大学から科学研究費の申請を行うことができます。また他の研究機関などを利用する場合にも、本学教職員としての資格で申請を行うことができます

研究成果の出版助成
学位論文を刊行しようとする場合、課程博士・論文博士とも願い出により、研究科委員会の審査を経て、本学より50万の出版助成を受けることができます。 
授業案内
史学専攻の開設する大学院授業はすべて博士前期課程・後期課程に共通で、同じ授業を履修することになります。専任教員がそれぞれ担当する演習の他、専任教員および非常勤講師の担当する特殊研究および古文書学文献学研究・史学理論史学史研究があります。

演習の内容は講読ないし研究発表で、各分野における基本的な研究能力を涵養する授業として運営しています。特殊研究は演習とは異なった狙いで、ある時代の実態に迫るための基本的な史料利用の技能、または、新しい着目点や手法を身につけるための授業として運営しています。

特定の分野に焦点を当てる演習・特殊研究とは異なって、全時代・分野にまたがる横断的な科目として、古文書学文献学研究・史学理論史学史研究を設定しています。史学専攻の開設科目のほかに、他の専攻の開設する科目、人文科学研究科が各専攻共通科目として開設している授業も履修することができます。
留学
課程博士の資格を取得したのち、願い出により教授会の審議を経て、最長で3年間の無給研究職の資格を得られることがあります。本学教職員としての資格をもち、給与はありませんが、学内の施設を教職員として利用できるほか、学習院大学から科学研究費の申請を行うことができます。また他の研究機関などを利用する場合にも、本学教職員としての資格で申請を行うことができます。
主な留学先
イギリス/ロンドン大学・ロンドン大学キングスカレッジ・ケンブリッジ・リージョナル・カレッジ・リーズ大学・エディンバラ大学
ドイツ/ヨーロッパ大学
フランス/リヨン第2大学・エクス=マルセイユ大学(SUFLE校)
スペイン/マドリッド自治大学
イタリア/ボローニャ大学・ナポリ東洋大学
中国/復旦大学・中山大学・雲南大学・武漢大学
韓国/慶北大学校
台湾/東呉大学
オーストラリア/モナッシュ大学
院生の進路と研究環境
有力な研究者として学会をリードして活躍する先輩を数多く輩出しているほか、専門性を活かして研究・教育に勤しんでいる先輩も数多く、公務や出版・書籍流通など大学院で学んだ成果を業務に活かして活躍している先輩も数多くあります。
就職先一覧(一部)
大学・高専 北海道大学.北海道教育大学旭川校.学習院女子大学.東北福祉大学.茨城大学.小山工業高専.流通経済大学.共立女子短期大学.駿河台大学.専修大学.高千穂大学.玉川学園女子短期大学.鶴見大学.東京音楽大学.東京国際大学.日本大学.立教大学.東京学芸大学.静岡文化芸術大学.新潟産業大学.日本福祉大学.皇學館大学.九州大学.別府大学.国立メキシコ自治大学.上智大学.学習院大学.川村学園大学.ノートルダム清心女子大学.東海大学.明治大学.福島大学.関東学院大学.常葉大学.南開大学(中国).北京大学(中国).南京暁荘学園(中国)など.
研究所・資料館・博物館 秋田県立博物館.福島県立博物館.江戸東京博物館.学習院大学史料館.学習院大学東洋文化研究所.お札と切手の博物館.貨幣博物館.宮内庁書陵部.国文学研究資料館アーカイブズ系.国会図書館.渋沢史料館.東京大学史料編纂所.国立公文書館.徳川林政史研究所.前田育徳会尊経閣文庫.三菱資料館.姫路文学館.白根記念渋谷区郷土博物館.物流博物館.東京文化会館.国立歴史民俗博物館.科学技術振興機構.土佐山内家宝物資料館.小布施町文書館.出雲弥生の森美術館.大磯郷土資料館.寒川町文書館.川崎市民ミュージアム.秋田県埋蔵文化財センター.千代田区立日比谷図書文化館など.
高等学校・中学校 山形東高校.茨城県立高校.浦和第一女子高校.関東国際高校.成徳短大附属高校.都立両国高校.学習院女子高等科.学習院高等科.慶應義塾高校.東京女学館.駒場東邦高校.自由が丘学園高校.西武学園文理高校.小田原高校.神奈川学園高校.横浜市立金沢高校.フェリス女学院高校.静岡学園高校.静岡雙葉学園高校.山梨英和高校.横浜共立学園.成城学園.都立豊島高校.須磨学園.私立高田学園.江戸川学園取手.公文国際学園.伊勢崎商業.沼南高校.國學院高校.豊島岡女子学園.青稜中高等学校など.
その他 学研ホールディングス.講談社.光文社.山川出版社.吉川弘文館.JTB出版事務局.ベネッセコーポレーション.株式会社AST.ジュンク堂書店.六一書房.戎光祥出版.中央大学職員.文部科学省.厚生労働省.法務省.日本銀行.茨城県庁.山梨県庁.千葉県庁.警視庁.トヨタ自動車.稲城市役所.国分寺市役所.三菱化工機.秋田県教育委員会.徳川記念財団.東京都庁.主婦の友社.大学基準協会など.
大学院生研究室
北2号館2階に、独自の大学院生研究室があります。共用の机とコンピューター、コピー機、共用のロッカーがあり、史学科書庫と近いため、院生の勉学の場として使われています。

2023年にあらたに開館した東1号館は、14階建ての高層建築で、2~11階は大学図書館です。12階以上の各階層には、さまざまな部屋が設置されています。史学専攻関係でいうと、研究会や委員会などに使える会議室、個人の研究ブース、史資料の整理や保存などに特化した専門的な設備を有した部屋などがあり、大学院生は比較的自由に使えます。前述したように、すぐ下には図書館があるので、研究書や史料集へのアクセスも◎です。大学院生の研究環境が大きく改善されました。
施設・機器の利用時間
北2号館2階の史学科書庫・学生閲覧室は、史学科事務室の開閉と連動して開閉されます。大学院生研究室は、史学科事務室の閉室後および土曜日午後・日曜日・祝祭日や長期休暇中も、所定の手続きを取ることによって、コンピューターなど備え付けの機器を含めて利用ができます。

なお、蔵書管理の必要から、史学科書庫・文学部図書室の利用は定められた時間内に限られます。マイクロ・リーダーも設置されている史学科学生閲覧室の開室時間内に利用することになります。
コピー機の利用について
大学院生は、一定の枚数に限って研究のためにコピー機・印刷機を利用することができます。
研究成果の発表機会
史学専攻では博士前期課程のうちに全国的な学術雑誌に論文を発表する学生もいます。博士論文の執筆を課題とする博士後期課程在籍の学生にとっては、1本でも多くの論文を発表して経験を積 むことが大切になります。
『学習院大学人文科学論集』
人文科学研究科が年刊で発行する研究論文雑誌で、博士前期課程・後期課程を問わず、人文科学研究科に在籍する大学院生および修了・退学後3年までの卒業生に投稿資格があります。
『学習院史学』
学習院大学史学会は史学専攻・史学科の学生・卒業生および教職員を会員とする学会で、年刊の学術雑誌『学習院史学』を発行しています。
各種奨学金・研究支援
生活の困窮度に応じて貸与されるもの、学業優秀者を奨励するために給与されるもの、研究活動に対して助成を行うもの、という3種類があります。
生活の困窮度に応じて貸与されるものには、日本学生支援機構の実施している貸与制奨学金と、学習院が独自に実施しているやはり貸与制の学習院大学奨学金があります。
→奨学金について|学習院大学 (gakushuin.ac.jp)
日本学生支援機構奨学金
無利子貸与の第1種と利子付き貸与の第2種という2種類があります。例年4月に学生部の主催する奨学金説明会があり、その場で申込書が配布されます。
学習院大学奨学金
家計の困窮している学業・人物の優秀な人を対象として、入学金以外の納付金に相当する金額を貸与する制度です。募集時期の定めはありますが、家庭事情が急変した人については、随時受け付けています。

学業優秀者を奨励する給付奨学金は、以下の3種があります。
■学習院大学学業優秀者給付奨学金
成績優秀者を表彰するために本学が独自に設けた奨学金で、1年に30万円を支給しています。博士前期課程に在学する学生のうち、特色ある研究を行っている者が対象となります。
■安倍能成記念教育基金奨学金
博士後期課程3年次以上の成績優秀者のうち、研究科から推薦された学生に45万円を支給します。
新制大学としての学習院大学が発足するにあたってリーダーとなった、安倍能成元院長兼学長を記念する奨学金です。
■学習院末松奨学基金奨学金
史学専攻の博士前期課程2年次に在学する学生が対象で、各年度1名に10万円を支給します。史学科・史学専攻の創設時の教授のひとりで、『朝鮮王朝実録』学習院版の印行など、東洋史の発展に多大な功績のあった末松保和名誉教授のご遺族からの寄付をもとにする基金を運用して給付する奨学金です。
研究活動に対して助成を行うものには次のものがあります。
■私学振興財団助成金による研究支援
博士後期課程に在学する学生を対象として、年間20万円を助成する制度があります。4月末頃までに教員の指導を受けながら、研究計画書を作成して応募します。
■遠隔地で学会発表を行う場合の旅費補助
遠隔地で学会発表を行う場合、願い出により、研究科として旅費を補助します。
TA制度
学部学生にたいする教育指導に参加するティーチング・アシスタント〔略してTA〕の制度があり、博士前期課程・後期課程の在学生が加わっています。報酬があり、教育経歴として履歴の上でも評価されます。
学習院大学史学会
学習院大学史学会は史学科が発足してから3年目にあたる1963年に創立された学会で、会員は、史学科および史学専攻に在学する学生・院生と卒業生、関係する教職員などです。活動の現況については学習院大学史学会 (gakushuin.ac.jp)のホームページをご覧ください。
学術活動としては、年刊の学術雑誌『学習院史学』を発行するとともに、会報『史学会報』を発行し、随時、例会を開催しています。
例年6月に総会を開催して年間の活動計画を決めるとともに、会員の研究発表会を行い、学内外の研究者を招いて講演会を実施しています。史学会の他にも、甲州史料調査会など、史学専攻に在籍する大学院生が重要なメンバーとして加わっている学会・研究会は少なくありません。現場の史料に触れる機会も、個人的な関係ではなかなか掴むことのできないものですから、積極的に参加して経験を積んで頂きたいものです。
→学習院大学史学会 (gakushuin.ac.jp)
大学院入試情報
学習院大学大学院人文科学史学専攻の入試情報については詳しくは下記のリンク先をご覧ください。
〈博士前期課程〉
秋期入試(9月/募集人員約8名)
春期入試(2月/募集人員約7名)
筆記試験・口述試験
※秋期入試志願者には、関心を持つ研究テーマについて、そのテーマを研究する意義、学界における研究状況、進学後の研究計画などをまとめ、自己の意図や関心がどのように修士論文として実現できると考えているのかを説明する研究計画書を提出してもらい、学力検査の結果とあわせて合否を判断します。春期入試では、上記に加え、卒業論文(もしくは、それに代わる論文)の提出義務があります。
〈博士後期課程〉
春期入試(2月/募集人員約3名)
筆記試験・口述試験
※例年1月に出願を受け付け、2月に試験を実施しています。
※進学後は、博士論文執筆をめざすことになりますので、その出発点となる修士論文の吟味が入学試験に際して重要になります。
→大学院・専門職大学院入試|学習院大学 (gakushuin.ac.jp)