公開:2013年10月3日 / 最終更新日:2014年年4月26日
まだやっかいな放射線
2 年半が経って汚染と被曝はどうなっているか
2014 年 4 月に、外部被曝の部分を中心に若干の書き直しをしました。
(下の「主要な更新履歴・訂正」を参照)
原子力発電所事故から 2 年半以上が経った今、汚染と被曝の現状をいくつかのデータにもとづいて解説する。
今の段階では内部被曝は日本中できわめて低く抑えられていること(4 節、5 節)、一方、一部の地域では高めの外部被曝をする可能性が否定できないこと(6 節)を説明するのが主な目的である。
本題からは逸れるが、福島第一原子力発電所の事故に伴う避難で生じた人的被害のこと(1.2 節)、原子力発電所の廃炉作業のこと(1.3 節)にも触れ、また、今回の事故で政府・地方自治体などによる初期被曝の対策は不十分だったということも述べる(3 節)。
放射線に関連する基礎知識をまとめた本『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』の続編というか、補遺です。
『やっかいな・・』よりもデータが多く、理屈っぽく、読みづらいかもしれません。
こういうのを読むのが得意な人が読んで、まわりの人たちに内容を伝えていただけるとうれしいとも思っています。
田崎 晴明
関連するページ
主要な更新履歴・訂正
(細かい修正は書きません)
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2014/4/26
前回の改訂で最後のつもりでいたのだが、いくつか直すべきところ、データを差し替えたほうがいいところが出てきたので、思い切って修正した(といっても、脚注 1 にも述べたが、全面的に改定したわけではない)。
念のため、改訂前の2013/11/29 のバージョン も残しておく。
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お米の全量・全袋検査の部分に 2013 年産米の結果も追加(新しい版の p 24)
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コープふくしまによる陰膳調査の結果も追加(新しい版の p 28)
- 「カリウム 40、セシウム 134、セシウム 137 はいずれもベータ崩壊し」とあったが(旧版の p 30 図 6)、これはカリウム 40 については誤りだった(カリウム40 はベータマイナス崩壊と軌道電子捕獲の二通りの仕方で崩壊し、 ベータマイナス崩壊ではベータ線を、軌道電子捕獲ではガンマ線を出す)ので修正(新しい版の p 31 図 7)。ご指摘くださった方、ありがとうございます。
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個人積算線量計で測った線量は実効線量を下回らないことを強調(新しい版の p 37、脚注 55)
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「空間線量率の実例」の部分(旧版の p 39)で「飛び抜けて高い」として紹介した測定点は警戒区域に入っている(つまり、除染していない)ことに気づいた。これでは例として不適だ(お恥ずかしい)。そもそもこの部分はあまり中身がなかったので削除し、その前にある、ホットスポットについてのぼくの実体験の部分をより具体的に書いた(新しい版の p 40、6 行目以降)。
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「個人の被曝線量の実例」という部分(旧版の p 40 以降)では相馬市のガラスバッジの測定結果を紹介していたが、相馬市の空間線量率はそれほど高くないので、このデータは誤解を与える可能性があった。線量率が高めの福島市の公開データの所在を教えてもらったので、全面的にデータを差し替え(グラフも自分で描き)、それに応じて本文の議論も書き換えた(新しい版の p 41 以降)。
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D-シャトルに関連して、早野、宮崎の文献を追加(新しい版の p 45、脚注 67)
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2013/11/29
今日も少しだけ修正。
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p 7 に福一の原子炉はずっと冷やし続ける必要があることも書いておいた。これを知らない人もいるかもしれないとふと思ったので。
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p 36 の脚注に
「放射線防護に用いられる線量概念
」へのリンクを追加。
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p42 の図 8 に 2013 年のガラスバッジの調査の結果も追加(どんどん下がっている)。本文も少し書き換え。
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2013/11/28
ほんの少しだけ修正。
p 45 の脚注で原子力規制委員会からの提言についてごく軽く触れた。
これを書いてから2ヶ月も経っていないが、多くのことが変わった。
(そういう意味では、どんどん時代遅れになっていく。)
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2013/10/2 じゃなくて 3
落ち着いて改訂しようと思っていたら、本業が忙し過ぎて、時間が経ってしまった。
ようやく公開です。
(おまけに日付を間違えていた。今日は 3 日ですな。)
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2013/9/9
書いた。なんとか時間を割いて二日半で全て書き終えるつもりだったが、二日半 + 半日かかった。
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田崎晴明
学習院大学理学部物理学教室
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