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椋 寛 教授

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略歴

1997年3月 横浜国立大学経済学部卒業
1999年3月 修士(経済学)取得(東京大学)
2002年3月 東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
2002年4月〜2003年3月 日本学術振興会特別研究員(PD)
2006年1月 博士(経済学)取得(東京大学)
2008年9月〜2010年8月 ブリティッシュ・コロンビア大学客員准教授

研究分野

国際貿易論.特に「特恵的貿易協定と多角的貿易自由化」、「海外直接投資と企業活動のグローバル化」、「不完全競争下の貿易政策」についての理論的・実証的研究

著書(一般向け)

・石川城太・菊地徹・椋寛『国際経済学をつかむ』有斐閣, 2007年

主要業績

[査読付公刊論文]
1. "On the Optimal External Tariff of a Free Trade Area with Internal Market Integration", Japan and the World Economy Vol.16(4), pp.431-448, December 2004.

2. "Multilateralism and Hub-and-Spoke Bilateralism"(with Kentaro Tachi), Review of International Economics Vol.14(4), pp.658-674, September 2006

3. “Economic Integration and Rules of Origin under International Oligopoly” (with J. Ishikawa and Y. Mizoguchi), International Economic Review Vol.48(1), pp. 185-210, February 2007

4. “Effects of Multilateral Trade Liberalization on Prices” (with J. Ishikawa), Review of International Economics Vol. 16(1), pp.37-44, February 2008

5. “Spillover Effects of Economic Integration in a Three-Country Model” (with J. Ishikawa), Japanese Economic Review, Vol. 59(2), pp.211-217, June 2008

6. “FDI in Post-Production Services and Product Market Competition” (with J. Ishikawa and H. Morita), Journal of International Economics, Vol. 82(1), pp.73-84, September 2010

[その他公刊論文]
1. 「日本の地域別輸出入関数の推定」,松本和幸(編)『経済成長と国際収支』(第3章),pp.63-85,日本評論社,2003年9月

2. 「国際寡占下の地域経済統合とその拡大:クールノー=池間カーブを用いた厚生分析」, 石川城太・古澤泰治(編)『国際貿易理論の展開』所収(第12章), pp.181-198,文眞堂,2005年2月

3. 「国際寡占下の差別的関税引き下げと相互アンチダンピング」,『社会科学研究』(東京大学社会科学研究所),第56巻第3・4合併号,pp.147-163, 2005年3月

4. "Regional Trade Agreements as Complements of Multilateral Liberalization: Theoretical Foundations and Future Issues", in Akira Kotera, Ichiro Araki and Tsuyoshi Kawase (eds.), The Future of Multilateral Trading System: East Asian Perspectives (London: Cameron May, 2009), ch. 15 pp. 295-316.

[その他論文]
1. “Comparing Alternative Paths to Free Trade under Endogenous Political Pressures”, GEM Discussion Paper Series #04-3, Gakushuin University, March 2005.

2. 「地域貿易協定と多角的貿易自由化の補完可能性:経済学的考察と今後の課題」, RIETI Discussion Paper Series 06-J-006, 2006年

3. “Preferential Trade Agreements, Technology Adoption and the Speed of Attaining Free Trade”, July 2010, Available at SSRN: http://ssrn.com/abstract=1641506

[調査]
1. 「地域経済統合の経済効果: 理論分析の整理と展望」 (財)地球産業文化研究所編 『アジアにおける地域経済協力に係る調査研究報告書』 所収、pp. 16-63, 2001年2月

2.椋寛 「FTA締結競争下の日豪FTAの役割」. NIRA政策レビュー(No.20)『日豪EPAへの期待と不安』所収, 総合研究開発機構(NIRA), p.6-p.8, 2007年10月

3.椋寛 「FTAの経済効果」. NIRA政策レビュー(No.2)『地域経済連携-FTA/EPA』所収, 総合研究開発機構(NIRA), p.6-p.8, 2006年6月
* 改訂版が伊藤 元重 (編著), 総合研究開発機構(著)『日本経済の「いま」がわかる11のトレンド』講談社, 2007年の第2章に所収

<書評>
・若杉隆平著『現代の国際貿易』(岩波書店)、日本経済研究センター会報、2008年2月(964)号

学外での活動

所属学会:日本経済学会、日本国際経済学会、American Economic Association, Canadian Economic Association, International Economics and Finance Society Japan

大学院進学志願者へのメッセージ

学部レベルで講義される経済学は過去から現在にわたって蓄積された多くの研究成果が標準化されたものであり、そのため比較的単純で理解しやすい ものになっています。標準化された経済学であっても、現実の経済を分析する基礎としてその重要性は揺るぎません。しかしそれが故、複雑な計算式や 統計手法を用いた最新の研究成果が講義に取り入れにくく、ダイナミックにアップデートされる経済学の先端研究を学ぶ機会が失われているのもい事実 です。

大学院で学ぶ経済学は、現実の経済を理解するための「教養」としての経済学を超えて、実際の経済問題を解決するための「武器」となります。高度 な経済学を学ぶ以上、要求レベルも学部時よりも格段に上がります。経済学を受動的に学ぶだけで無く、論文やレポートの作成を通じて経済学を実際に 使う(あるいは作る)事が要求されます。多くの人が学部を卒業すると同時に社会人になるなかで、大学院に進学することの機会費用はとてつもなく大 きく、またリスクの大きい投資活動でしょう。しかし、その努力により身につけた様々な知識や能力と、その先に拡がる将来の可能性は、大学院に進学 しなければ決して得られないものです。進学するきっかけは「もっと経済学を深く学んでみたい」というシンプルなもので十分です(私もそうでした)。その意欲があるならば、是非大学院に進学してみてください。皆さんと議論できることを楽しみにしています。

講義・演習の運営方針

国と国との経済関係がますます密接になっている現在、一国の経済は海外との経済取引を抜きに語ることはできません。また、世界各国の政府は国家間の経済取引に対して様々な対外経済政策を発動しています。毎日のニュースをチェックしただけでも、国際経済に関わる報道が溢れている事が確認できます。しかし事実を知るだけでは、その裏に潜む経済メカニズムや政府の政策の是非までを考えることはできません。日本はなぜ農産品を多く外国から輸入しており、またなぜその輸入に厳しい制限を課しているのでしょうか。日本がアジア諸国のみならず、メキシコ・チリ・スイスとFTA(自由貿易協定)を締結した理由は何でしょうか。そして、それらは日本のみならず世界経済にどのような影響をもたらすのでしょうか。

国際経済学は、これらの疑問を解くために有用な分析ツールを多く提供してくれます。直接投資・関税・セーフガード・アンチダンピング・貿易摩擦・WTO・FTA・・・例えばこれらのキーワードに興味を持ったなら、私の講義・演習に参加してみてください。

[講義]
<国際経済学(2〜4年次配当)>
モノや資源の移動といった実物面を主に分析する「国際貿易論」を講義します。講義内容は二つにテーマに大別されます。まず前期の講義では、特にモノの貿易を中心とした国際経済取引のメカニズムを明らかにすることを目的とします。講義は経済理論の解説が中心となりますが、国際経済学に限らず、理論という「道具」を理解するだけでは何も学んだことになりません。理論と現実とを適時対応させつつ、現実経済の動きを客観的に分析する能力を身につける事を第一の目標とします。実際、講義の中でも新聞記事の紹介やニュース映像を流すなどして、現実の数値や国際経済のトピックを適時取り上げていきます。

後期の講義では、前期に学んだ国際貿易のメカニズムを踏まえ、政府による対外政策のプラス・マイナスを明らかにし、日本や世界にとって最適な政策目標・政策手段を検討します。国際経済取引に関わる政府の政策には様々な利害が絡み、多くの議論がなされています。国際経済学が導き出す答えは一つではありませんが、客観的視点により根拠づけた上で望ましい政策を考えることは、皆さんにとって貴重な経験となると思います。

講義ではミクロ経済学やゲーム理論の知識を前提に講義を進めるため、学部の講義や自習を通じてあらかじめ基礎的な知識を身につけておいてください。また、国際経済学の講義で扱う「国際貿易論」と補完的な関係にある「国際金融論」や「経済発展論」の履修も勧めます。

<経済学特殊講義(国際貿易の諸問題)(3〜4年次配当)>
国際経済学の講義で身に付けた基礎知識を応用し、「国際貿易と環境問題」「サービス貿易の自由化」「多国籍企業と海外直接投資」といったより高度なテーマについて解説しつつ、受講者と議論を行います。

<国際経済学(上級2)(3〜4年次配当)>
大学院への進学希望者を対象にした講義であり、数式やグラフを駆使しつつ伝統的な理論から最新のものまでを解説します。講義の理解にはミクロ経済学・ゲーム理論の高度な知識とともに、英文の文献を読む能力と意欲が必要です。講義レベルが自分にあっているかどうか、あらかじめ[こちら ]に置いてある講義スライド例を見て判断してください。

<外国書購読(1〜4年次配当)>
国際貿易に関係する英文文献を輪読し、問題意識を養います。英語力を鍛えるというよりは、英語の文献で国際経済学の素養を高めることを主目的とします。

[演習]
少人数であることを活かしてテーマを絞った報告・討論をします。入門演習はプレゼンテーションや討論に慣れることに主眼をおきつつ、身近な経済問題を扱った初歩的な書物をテキストにします。2年生の演習では問題意識を高めることを中心にしつつ、参加者による報告と議論を行います。

またゲスト講師を1度招きます(昨年度はフランス大使館参事官を招聘、今年度は経済産業省からの招聘を予定)。3年生の演習は、通常は年末の他大学(これまでの相手:慶応義塾大・一橋大・法政大・上智大・横浜国立大学)とのインターゼミに向けて、前期はテーマを探す作業、後期はゼミ論文としてそれをまとめる作業をします。ゼミ論文の作成は多くの時間を要し、またプレッシャーがかかる作業ですが、その苦労が今後の人生においてかけがえのない経験となる事を約束します。

私の研究課題

近年、世界各国はWTOにおける交渉により多角的な貿易自由化を模索する一方、特恵的貿易協定(自由貿易協定、FTA)による差別的な自由化、あるいはアンチダンピング措置やセーフガードといった一方的な措置の発動を同時進行的に行っています。

またモノの貿易のみならず、海外サービス拠点の設立や外国人介護士の受け入れ等のサービス貿易の自由化や、貿易に関わる環境問題や労働問題なども大きな議論になっています。私の研究課題はこれらのトピックの問題点と解決策を明らかにすることです。

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