教員紹介

千葉教授

千葉 功 教授
CHIBA, Isao
日本近代史

■略歴

 

1969年 千葉県に生まれる
1988年 千葉県立千葉高等学校卒業
1993年 東京大学文学部国史学科卒業

2000年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了

       昭和女子大学文学部講師

2011年 学習院大学史学科に着任

■研究テーマ・分野

 大学院の修士課程の頃は、日英同盟から日露戦争への過程が必然だったのかを見るべく、日露開戦史を研究しました。その後、博士課程では第一次世界大戦前における仲裁裁判条約と日本との関係や、外務省の自律化へとテーマを拡げました。さらに、就職後は1904〜19年における多角的同盟・協商網の研究を行い、最終的に『旧外交の形成』という本を上梓することができました。
 またこのテーマの派生として、桂太郎の伝記的研究と日露戦争の総合的研究も行っています。前者に関しては、桂が書いた、もしくは受け取った書翰を史料集という形でまとめつつ、伝記を執筆中です。また、後者に関しては、政治史・経済史・社会史・思想史・文化史などの諸分野を横断して、日露戦争を分析してみたいと思っています。

 ただし、せっかく学習院大学史学科に着任しましたので、これからは腰を据えて2つの新たなテーマに取り組みたいと考えています。1つは、近代歴史学の成立を国家ないし社会との関係から分析することです。もう1つは大久保政権期から憲法発布期にかけての明治政府の特質を研究することです。これらは研究対象が茫然自失するほど広くて、把握するのが困難なものですが、学生・院生さんたちと一緒に向き合うことで乗り越えることができたらと、期待に胸をふくらませているところです。

■主要業績

2001年

ルイーズ・ヤング『総動員帝国 ―満洲と戦時帝国主義の文化』(共訳、岩波書店)
2008年 『旧外交の形成 ―日本外交一九〇〇〜一九一九』(勁草書房)
2010年 『桂太郎関係文書』(東京大学出版会)
2011年 『桂太郎発書翰集』(東京大学出版会)
2012年 『桂太郎 ―外に帝国主義、内に立憲主義―』(中央公論新社)
2012年 『日記に読む近代日本2 明治後期』(編著、吉川弘文館)

■私のゼミ(学部)で学ぼうとする皆さんへ

 学部ゼミ(日本史演習)では、4年生になって卒業論文を作成・完成するために、史料や研究論文の読解方法といった基礎的な技術を習得することを目的としています。よって、ゼミに主体的・積極的に参加することが強く望まれます。具体的には、@明治期の史料として書翰(井上馨あての書翰を予定)を、A昭和期の史料として日記(日記ではありませんが、中心史料として『西園寺公と政局』を予定)をもとに、それぞれ史料の内容を調べて発表します。また、B歴史雑誌に掲載された研究論文(各自の関心にもとづいて選択)の書評を行うことで、論文の書き方を学びます。参加学生の発表回数を確保するため、ゼミ合宿も予定しています。これらのトレーニングを経ることによって、4年生になって卒業論文を無事完成させることができるのです。
 歴史を研究するには、複数の史料をつきあわせて組み立てていく作法(「史料批判」といいます)をマスターする必要があり、それ自体は結構面倒で砂を噛むような単純作業かもしれません。ただし、この作法をマスターすれば、卒業論文の段階でも充分新しく独自性(「オリジナリティ」といいます)の高いことをいうことができます。なにより、史料を読むことは純粋に愉しい。そのことを学生のみなさんに御伝えすることも大切な仕事と考えています。

■私のゼミ(大学院)で学ぼうとする皆さんへ

 大学院ゼミ(日本史演習)は、主に日本近現代史で修士・博士論文を作成する大学院生を対象に、論文作成のための足がかりとなることを目指しております。各自の研究過程において重要な研究書や史料を読解することで、論文作成につなげていけたらと考えております。具体的には、@書翰(井上馨あての書翰を予定)などの一次史料を読むことによって、くずし字読解技術を習得しつつ史料批判の方法をマスターします。また、A各自が論文を作成するうえで立ち向かい乗り越えなければいけない先行研究(研究書・研究論文)を読み、書評を行うとともに、B自由発表を重ねて修士・博士論文の作成や、学会誌への投稿につなげていきます。
 私の前任の井上勲先生や、戦後最大の知識人である丸山真男は、大学院でのトレーニングを「道場」にたとえています。それも、教員が院生に一方的に教えるような道場ではなく、教員と院生が、また院生同士が、切磋琢磨しあうような道場にしたいと念じております。

Key words:the Meiji-period, KATSURA Taro, the Russo-Japanese War, the history of Historiography


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