本研究会はMyong ji UniversityからChung Jin Min教授をお招きし、現代アメリカ政治における2大政党支持の両極化傾向に関し、主に政治エリートと投票者の2つのレベルから講演をして頂いた。
教授は、両極化の傾向は1980年代以降において顕著となり、特に前述の両レベルにおける熱烈な党派支持(Partisanship)を持つ人々により牽引されていると指摘する。党派支持を急進化する要因として、社会階層、収入格差、宗派対立、地域性などに端を発するイデオロギー的分裂が提示された。更にそれらが複雑に関係しあっている事、また現代アメリカが直面する多様な課題が政党活動や選挙行動に影響を及ぼしている事についての言及がなされた。結果として、この様な政治的分断の長期的継続は、大統領のガバナンスや立法制度の正当性を動揺させ、ひいては有権者個々人の生活に悪循環をもたらすであろうと教授は警鐘を鳴らしている。
講演会の参加者からは、教授陣、大学院生、学部生から活発な質問がなされ、アメリカが関係各国に及ぼす影響の大きさを改めて認識する事ができたと言えよう。
報告者:田中 聡一郎