熱力学入門(「熱力学 --- 現代的な視点から」のベータ版)

構想

全く新しい構想に基づく熱力学の入門書。

Kelvin の原理(熱力学の第二法則)を Joule の原理(熱力学の第一法則)よりも先に導入するという画期的なプランを貫く。 教育的には、かなり有効だと思う。 現代的なエントロピーへの最短距離でもある。

様々なこだわりを捨てて、論理性とスマートさを徹底的に追及する。 絶対温度にもこだわらず、はじめから理想気体温度 T を用いる。 三重点などは扱えない形式だが、(T;V,N) による直感的な状態の表示を採用。

応用もできるだけ論じる。 論理の明解さを保ちながら、化学平衡や電池にまで及ぼうという大胆不敵な企て!

進行状況

目次

(2/23/99 改訂)
ノート全体の構成の概念図(GIF picture)
  1. 熱力学とはなにか
    1. 気体の熱力学から普遍的な熱力学へ
    2. 熱力学と普遍性
    3. このノートの内容について
    4. 数学についての約束
  2. 平衡状態の記述
    1. 熱力学的な系の示量変数
    2. 熱力学の視点
    3. 操作について
    4. 平衡状態
  3. 等温操作と Helmoholtz の自由エネルギー
    1. 等温操作
    2. Kelvin の原理
    3. 力学におけるポテンシャルエネルギー
    4. 二つのブラックボックス
    5. 最大仕事
    6. Helmoholtz の自由エネルギー
    7. 圧力と Helmoholtz の自由エネルギー
  4. 断熱操作とエネルギー
    1. 断熱操作
    2. Joule の原理と断熱仕事
    3. エネルギー
    4. 理想気体
    5. 環境との熱のやりとり
  5. Carnot の定理
    1. 最大吸熱量の比の普遍性
    2. Carnot サイクル
    3. Carnot の定理の証明
    4. 熱機関の効率の上限
  6. エントロピー
    1. エントロピーの導入
    2. エントロピーと可逆性、不可逆性
    3. いくつかの例
    4. エントロピー増大則
    5. 複合状態のエントロピーとエントロピー原理
  7. Helmholtz の自由エネルギーと変分原理
    1. Helmholtz の自由エネルギーの微分
    2. 微分形式による表現
    3. Maxwell の関係式
    4. 変分原理と変化の向き
    5. つり合いの条件
    6. 相転移と相の共存
    7. 相図と Clapeyron の関係
  8. Gibbs の自由エネルギー
    1. Gibbs の自由エネルギーの定義
    2. Gibbs の自由エネルギーの微分といくつかの関係式
    3. 定圧熱容量
    4. 変分原理
    5. Gibbs の自由エネルギーの性質
  9. 多成分の流体の熱力学
    1. 多成分系の Helmholtz の自由エネルギー
    2. 多成分系の Gibbs の自由エネルギー
    3. Henry の法則
    4. 希薄溶液における沸点上昇
    5. 化学反応における平衡
    6. Nernst-Planck の仮説
    7. 水溶液中の化学平衡
    8. 濃淡電池の熱力学
  10. 強磁性体の熱力学
    1. 強磁性体の扱い
    2. 相転移と臨界現象
    3. Landau の疑似自由エネルギー
    4. スケーリング仮説
  11. (付録)Carnot の定理の完全な導出
    1. 簡単な場合
    2. 一般の場合
  12. (補遺)完全な熱力学関数のまとめ

言うまでもないことかもしれませんが、私の書いたページの内容に興味を持って下さった方がご自分のページから私のページのいずれかへリンクして下さる際には、特に私にお断りいただく必要はありません。
田崎晴明
学習院大学理学部物理学教室
田崎晴明ホームページ

hal.tasaki@gakushuin.ac.jp