学習院大学 東洋文化研究所The Research Institute for Oriental Cultures

研究プロジェクト

一般研究プロジェクト

中国古代における森林資源と生態環境(2001-2002年度)

 

構成員
代表研究員 鶴間和幸
研究員 諏訪哲郎 島田誠 
客員研究員 市来弘志 森部豊 浜川栄 王瑞来
(1)研究の目的・意義

近年歴史学の分野では生態環境史の分野が注目され、新しい研究が提出されるようになった。これまで本プロジェクトを計画した研究者自身も、すでに黄土高原における環境の調査を実施し、大きな成果を収めてきた。本研究は、とくに中国古代の森林資源が開発によって失われていったという学説を検証しながら、新しい方向をさぐっていくものである。中国では一九九八年に長江の大洪水が発生したときに、その原因は森林の過度の伐採と棚田化にあるとの認識が深まった。山林の貯水作用を奪い、表土の流出が河川の水量を急激に高めたのであった。中国でもそうした反省から森林史への関心や研究も深まり、ますます史念海教授(陝西師範大学中国歴史地理研究所)の研究がクローズアップされた。

(2)研究内容・方法

まずはその学説の提唱者である史念海教授の業績、『黄土高原森林与草原的変遷』と『河山集』のなかの関連論文を輪読し、翻訳することから始める。史教授の業績は、日本でその名を知られながら、まだ翻訳が刊行されていない。とくに前者の著書の刊行は、日本における生態環境史研究に大きなインパクトを与えるものと思われる。そしてさらに森林資源の研究は、なによりも各分野の研究者の協力が必要であり、研究会、講演会を開催しながら、自然科学者の知恵をも結集させていきたい。現在の環境問題への何らかの提言を、過去の歴史から探していきたい。

(3)研究の成果

益満義裕「イヌから見た中国古代の社会と文化」(『東洋文化研究』6号、2004)

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