一般研究プロジェクト
A25-3 中国地図史の再検討
| 構成員 | |
|---|---|
| 代表研究員 | 大澤顯浩 |
| 研究員 | 小野泰教 |
| 客員研究員 | 小林茂 |
(1)2025年度研究活動の概要
本プロジェクトでは、「中国の地図を如何に読み解くのか」という方法論を再構築する試みとして、まず中国の古地図をどのように見ていけばよいのか、という主題を多角的に考察した。今年度は科学史との関係で中国の伝統社会は経緯度をどのように理解していたのか、歴史・政治との関係で皇帝支配の一元化に地誌が果たした役割とそれと同時に進められた地図編纂事業の意味、近代の外交において正確な地理情報を得ることの重要性とその地図化における問題点などを議論することができた。(さらに、台湾の古地図の所蔵と研究状況についての報告と江戸時代の日本刊行の地図についての報告を予定) 当初の計画では海外に所蔵する古地図の調査を並行して始める予定であったが、研究メンバーの体調がすぐれない等の事情のため海外での調査は断念し、逆に国内外の研究者を招聘あるいはリモートでの講演を依頼して研究会・講演会を開催し、それぞれの研究討論を深化させた。 25年度中の活動としては以下の通りである。 1)研究会・講演会の開催(11月22日以外は東洋文化研究所会議室で開催) ・9月25日(木) 大澤顯浩(研究員、外国語教育研究センター)「中国の古地図をどう視るか」 小林茂氏(客員研究員、大阪大学名誉教授) 「18世紀初頭~19世紀初頭の東アジアにおける地図への経緯度の導入」 ・11月22日(土)大澤顯浩「『制図六体』再考―中国古地図の作成原理について」 (於:学習院大学外国語教育研究センターコミュニケーションルーム) ・11月27日(木)祝平一氏(台湾・中央研究院歴史語言研究所研究員) 「關鍵物:三角函數表與中西曆法之爭」 ・12月4日(木)大坪慶之氏(三重大学教授)「西洋製地図の翻訳と清末の政治・外交」 ・12月11日(木)小二田章氏(研究分担者、放送大学准教授) 「地方志とその周囲の地図 ―杭州を中心に」 ・2026年2月27日(金)15:00~18:30(予定) 陳宗仁氏(中央研究院臺灣史研究所研究員)「介紹台灣有關中國古地圖的收藏與研究」 ・2026年3月26日(木)15:00~18:30(予定) 海田俊一氏(イマゴ・ムンディ日本代表・国際古地図研究協会日本代表) 「江戸時代に刊行された一枚物の中国図について」 2)関係分野の海野一隆氏の著作、古地図の図録及び1930年代作成の中国地図などの資料を古書店より購入 3)展覧会の見学、神戸市立博物館の秋岡コレクションの展覧会の見学(3月下旬に予定)
(2)2026年度活動計画
中国の古地図の性格をより明確にするために、通時的な制作状況もとらえて伝統中国で大量に作成された地図をいくつかの類型に整理して、その果たした役割・機能を検討したい。そのために以下のような活動を計画している。 ・対面またはオンラインでの研究会の開催し、中国の古地図に対する日本の古地図研究者・中国科学史・美術史・歴史地理の専門家などの見解を尋ね、多角的な見地から中国の古地図の成立と発展の歴史を検討する。場合によってはオンラインでの海外の研究者の参加も考えている。 ・古地図研究を進めている研究機関である東洋文庫との連携を進める。11月には、国際古地図協会2026年度大会に参加して研究成果を発表する予定で、また、この学会に来日するマリオ・カムズ(Mario Cams)氏(ベルギー、ルーヴェン・カトリック大学)の学内での講演を予定している。 ・台湾の故宮博物院などの機関が所蔵する中国の古地図を調査する。体調が回復し条件的に可能になれば、台湾での古地図の調査・研究を深化させたい。予算の範囲内で可能な調査を行うが、必要があれば一定程度は自費での負担の生じることも想定している。 ・時間的に余裕があれば、国際日本文化研究センター(海野文庫)、神戸市立博物館(南波松太郎コレクション・秋岡武次郎コレクション)、広島県立歴史博物館(守屋壽コレクション)など古地図のコレクションを収蔵する国内の機関への調査も行いたい。



