学習院大学 東洋文化研究所The Research Institute for Oriental Cultures

研究プロジェクト

一般研究プロジェクト

総力戦下における満州国の教育、科学・技術政策の研究(1987-1988年度)

 

構成員
代表研究員 斉藤利彦
研究員 鈴木敦省 佐藤喜久雄
客員研究員 原正敏 伊沢直也
(1)研究の目的・意義

満州事変に始まり大東亜戦争へと続く15年戦争が、国家の人的、物的資源のすべてを動員し尽くして戦われた総力戦であったことはすでに知られている。しかしこの総力戦がどのよう態様の下にかつ、どのような方法で教育と研究とを、さらには科学と技術とを動員したのかについてはいまだ充分には明らかにはされていない。
我々はこれまで、15年戦争下における教育・研究動員、科学・技術動員を対象とする研究を進めてきた。しかしその過程で、総力戦下での教育・科学・技術動員の全体像をとらえるためには、植民地下における教育・科学・技術政策との関連を明らかにすることが不可欠であるということが痛感された。なぜなら日本は植民地の人的・物的資源の動員抜きでは、とうてい総力戦そのものを戦えなかったからである。さらに注目すべきは、特に旧満州国において軍部、新官僚が一体となり、日本では従来の慣行にしばられ、やろうとしてもできなかった大胆な教育、科学・技術政策がおし進められていたことである。日本の総力戦の特質を明確にするため、これらの動向を解明することが本研究の目的である。

(2)研究内容・方法

まず、満州国の総力戦体制を「教育・研究動員」および「科学・技術動員」の側面から検討し、日本のそれとの比較そして関連構造を究明する。
具体的な対象としては以下を重点的にとりあげる。
①「建国大学」―その創設の経緯、および近代高等教育史上の位置、さらに総力戦の下でいかなる役割をはたすことが期待されていたのか、を解明する。
②「大陸科学院」―そこにどのように日本の科学者が動員され、どのような研究が行われ、いかなる業績を残したのか、それらの研究が総力戦下の政策に現実にどのように反映されたのか等を解明する。

(3)研究の成果

原正敏・槻木瑞生・斉藤利彦『総力戦下における「満州国」の教育、科学・技術政策の研究(調査研究報告No.30)』(学習院大学東洋文化研究所、1990年3月)

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