学習院大学 東洋文化研究所The Research Institute for Oriental Cultures

研究プロジェクト

一般研究プロジェクト

東アジアの家族と社会(1995-1996年度)

 

構成員
代表研究員 武内房司
研究員 高埜利彦 沖野真已
客員研究員 末成道男 菊池秀明 川上哲正
(1)研究の目的・意義

近年、その目覚ましい経済発展が注目されている東アジア諸地域とわが国の関係はますます緊密になりつつあるが、それにもかかわらず、多様な社会構造の持ち、豊かな文化を育んできたこれらの地域に対する我々の理解は、必ずしも十分な深まりを見せているわけではない。
今日の経済変動に対応しながら大きな変化を遂げつつある東アジア諸地域のあり方についての研究もその一例であり、従来、東アジヤの家族社会は、ともすれば、専制国家を基礎づけるものとしての家父長制とのかかわりにおいて、極めて限られた視角からのみ分析され、一般に伝統家族社会は近代化を阻むマイナス要因として評価されることが多かった。
しかし、中国社会に限ってみても、今日改めて経済、企業活動における宗族の役割などが注目を浴びつつあり、旧来の枠組みとは異なる新たな視点にたった東アジヤ地域の家族像の検討が要請されているといえる。
このような問題意識を前提とした上で、本研究プロジェクトにおいては、多様な領域からの研究者の参加を得て、日本、中国、台湾、朝鮮、ヴェトナムを中心として、経済変動の過程で生じつつある家族関係の社会的な枠組みの変化について、多面的な分析・研究を行うことを目的とする。

(2)研究内容・方法

現在、本研究プロジェクトの主要研究対象となる諸地域(特に中国関係地域)において、家族研究に関する基礎的資料が続々と発掘、編集されつつある。しかるに、それらの豊富な諸資料はいまだ研究の中で十分に活用されているとはいえない。
よって、本研究プロジェクトにおいては、先ず第一に、基礎的作業として、関連諸資料の体系的収集およびその精密なる解読を進める。
さらにこうした作業の成果を基本としつつ、近現代における東アジア諸地域の家族関係の変容について、
 (1)農村家族形態の歴史的変化
 (2)都市化・工業化の過程で生起する新たな家族社会関係
 (3)中国周辺諸地域間の家族像の比較
といった視点から、歴史学、社会人類学、法学、地域研究等の手法を用いて分析する。
このような作業をつうじて、社会構造の基礎をなす家族社会関係を軸に、諸地域間の多様性と共通性についての理解を深めることをめざす。

(3)研究の成果

『彝族族譜資料(I)且蘭考(調査研究報告No.47)』(学習院大学東洋文化研究所、1999年12月)
『彝族族譜資料(II)雄書安氏家譜・通雍余氏宗譜(調査研究報告No.48)』(学習院大学東洋文化研究所、1999年12月)

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