学習院大学 東洋文化研究所The Research Institute for Oriental Cultures

研究プロジェクト

一般研究プロジェクト

東アジア地域における伝統と近代(1996-1997年度)

 

構成員
代表研究員 坂本多加雄
研究員 小倉芳彦 原島春雄 高柳信夫 王瑞来
客員研究員 斉藤孝 武田幸男 遠山美都男 深津行徳 福士慈稔 宮田節子
(1)研究の目的・意義

現在、日本・朝鮮・中国を中心とした東アジア地域は、その目覚ましい経済発展により、各方面からの注目を浴びているが、中でもこれら諸地域の近代化の過程において、その伝統的諸要素が果たしてきた機能をいかに評価するか(単に否定的にではなく、その近代化への積極的役割も含めて)が大きな課題としてクローズアップされつつある。
この問題を論ずるに当たっては、もはや「伝統対近代」という形で二頂対立的に扱う、嘗ての近代化論的枠組みでは不十分であることは言うをまたず、また同時に、日本・朝鮮・中国といった諸地域の歴史的個性にも十全の注意を払うことが不可欠である。例えば、同じく「儒教」といっても、これら各地域における「儒教」の教義、社会的機能等は著しい差異を示しており、到底一括して論ずることができないことは、現在では常識に類する。
こうした点を考慮し、本プロジェクトでは、日本・朝鮮・中国の各々の地域において、その伝統的諸要素と各社会の近代史に通じた研究者に広く参加を求め、東アジア諸地域の近代化様相を、思想、文化、社会、経済等の角度から、総合的かつ多角的に比較研究し、各地域の近代化過程における特色を把握することを目的とする。

(2)研究内容・方法

原則として、日本、朝鮮、中国それぞれを専門とするメンバーが、自身の専攻に従い、各地域の近代化の過程において、伝統的要素がいかなる影響を与えたかについて、各自問題点を提出し、それを研究会形式で検討しつつ、生産的な比較研究が可能となるような形に課題を整理する。
また、東洋文化研究所においては従来より朝鮮に関しての研究実績が多く蓄積されてきていること、東アジア地域の比較研究においては、ともすれば日本と中国の対比に力点がおかれがちなことなどを考慮し、朝鮮についての検討を充実させる。
特に、本学に所蔵される朝鮮戸籍大帳は、朝鮮近代への移行期ともいえる李朝時代の社会状況を知る上で無二の貴重な史料である。よって、成果を是非とも本プロジェクトに反映させたいと考える。

(3)研究の成果

武田幸男、山内弘一、井上和枝『朝鮮後期の慶尚道丹城県における社会動態の研究(II)-学習院大学蔵朝鮮戸籍大帳の基礎的研究(3)-(調査研究報告No.33)』(学習院大学東洋文化研究所、1997年)

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