専攻の特色


学習院大学大学院にはすでにさまざまな古典的枠組みの専攻課程があります。しかし、20世紀後半から、そうした個別化した専攻では十分に扱いきれない学問の領域が明らかになってきました。それを私たちは「身体表象文化」と名づけ、その領域を横断的に研究する専攻課程を創始しました。

19世紀的な学問の中心にあるのはテクスト(文献、言葉)です。しかし、現代文化は表象(イメージ)抜きでは論じることができません。20世紀に発展した映画、アニメーション、マンガなどの芸術は、現代文化のなかに巨大な位置を占めていながら、これらを互いに関連づけ、先行する演劇など表象芸術の新たな展開として研究する場所がほとんどありませんでした。私たちの「身体表象文化学専攻」はその空白を埋める学問の場所です。

生身の役者が世界を表象する演劇、スターの身体が魅力的に映しだされる映画、「キャラクター」が時空を超えて活躍するマンガ・アニメーション。これらはすべて身体とイメージを重要な出発点とし、現代のメディア環境や産業にまで大きな影響を及ぼしています。そこではいったい何が起こっているのか?「身体表象文化学専攻」は、この、実感としては分かっているが、学問的には依然未知の領域の探究に乗りだそうとするものです。

そして、言葉と理性の絶対化からは見えてこないイメージや身体の文化的可能性について、研究の基盤を提供することも本専攻の目的のひとつです。そのために、身体表象文化の歴史や理論も深く学んでいきます。特に身体表象はそれを生み出す社会のジェンダー観と密接に関係しています。舞台芸術、映画、マンガ、アニメーションなどによって表象される「身体」は、その時々のジェンダー観を攪乱し変化をもたらします。このような身体表象の社会的作用を分析する鍵となるのが身体表象文化論で学ぶジェンダー理論です。

身体表象文化の研究という斬新で遠大な目的のために、本専攻はさまざまな分野で活躍する一流の研究者を揃えました。学生の皆さんもその連係のなかに飛びこみ、現代文化の最先端と本質を自分自身の身体と頭脳でとらえてほしいと思います。

身体表象文化学は舞台芸術、映像芸術、マンガ・アニメーションを対象とし、イメージ媒体として身体が作り上げてきた文化的意味を問い直す新しい学問領域です。本専攻では、舞台芸術、映像芸術、マンガ・アニメーションという領域を言語、地域、専攻領域を超えて、身体と関わる文化学として有機的に組み合わせ、より幅広く、より深い奥行をもって学ぶことができます。

したがって演劇、映画、マンガ・アニメーションに関心のある方で、これらの対象を身体と関わる文化背景から研究してみたいという方には最適の専攻です。




専攻紹介





〒171-8588東京都豊島区
目白1-5-1北2号館6階631室 
学習院大学 人文科学研究科
身体表象文化学専攻
Tel:03-5992-1404


開室時間
平日: 10:00~11:30
     12:30-18:00
土曜: 9:00~12:30