先輩の声

入学希望者に向けた卒業生・在校生からのメッセージです。



三輪健太朗  大学院の進学先を考えるにあたっては、学力面や経済面など様々な要因が関わってきますが、最終的にもっとも重視すべきは、自分が研究をしていく上でのモチベーションです。 私は、夏目房之介先生のもとでマンガ研究をやってみたい、という半ば直感的なインスピレーションに導かれて学習院の門をくぐって以来、夏目ゼミで研鑽を積みながら、 本を出したり博士論文を書き上げたりと研究に邁進してきました。 十年後の今日では、今度は私が大学教員として学生にマンガの研究を指導する日々を送っていますが、いま振り返ってみて、これまで研究者人生を続けてこられた最大の要因は、大学院時代の環境に恵まれたからだと断言できます。 映画や舞台を専門とするメンバーとも交流しつつ、夏目ゼミで過ごした時間は、自分は今まさにマンガ研究の最先端で切磋琢磨しているんだという高揚感とともに、自らの研究へのモチベーションを育み、持続させてくれるものでした。 学問の道のりは決して楽なものではありませんが、ぜひ高い志をもってその入り口に立ってください。
2019年3月博士後期課程修了 大学専任教員 三輪健太朗



岡田尚文  身体表象文化学専攻では、2019年度より学部生向けの基礎教養科目「舞台・映像芸術C」を開講しています。 多数の専門研究者(演劇研究、表象文化論等)/現場経験者(舞台演出家・出演者、ジャーナリスト等)を学内外から招き、「メディアミックス時代の文化と芸術」を統一テーマとして各氏に講義してもらうオムニバス形式の授業です。 具体的には、漫画やゲームの舞台化である「2.5次元ミュージカル」(『刀剣乱舞』等)やアニメーション(『ガールズ&パンツァー』等)のロケ地を訪ねる「〈聖地〉巡礼」といった最新のメディア・トピックについて縦横にお話し頂いており、学生からも好評を博しています。 光栄にも私はこの授業にオーガナイザー兼講師として携わらせてもらっていますが、もとは本専攻の出身です。 中条省平教授の指導下に映画に関する博士論文を執筆し、本専攻の助教を務めた後、今に至ります。 本専攻ではマンガ・アニメーション、映画、演劇、ジェンダー研究という4つの学問領域の演習を自分の研究テーマに沿って自由に行き来することができるのですが、そこで得た経験が、学際的な智見を要求される現在の仕事に非常に役立っています。
2015年博士後期課程修了 非常勤講師 岡田尚文



李思ケイ  留学生が割と少ないですが、とても自由な雰囲気で、研究に何か困ったことがあってもみんながサポートしてくれますし、論文に心配だったら気軽に周りにアドバイスを求めることができる環境です。 ここではマンガ、アニメ、映画、演劇、ジェンダーの授業に自由に参加でき、学生も研究分野と国籍を問わず日々積極的に交流しています。 多元的に問題を考えたい、自分の研究を進めつつ別分野からも刺激を受けたいという方には最適だと思います。
博士後期課程 李 思フ



吉村麗  学部時代は美術史を勉強していましたが、マンガを専門的に研究してみたいという気持ちから、身体表象文化学専攻に入学しました。 当初、研究の基礎さえできていなかった私にとって論文を仕上げるということは無謀な挑戦にも思えました。 けれど、夏目房之介教授の丁寧な指導や頼りになる先輩方、切磋琢磨できる同輩たちのおかげで、刺激的で充実した学生生活を送ることができました。 卒業後は主に美術館において、マンガ展の企画・制作に携わっています。2018年はパリ、今年はロンドンと、近年は海外で日本のマンガを紹介する展覧会に参加する機会に恵まれました。 改めてマンガというメディアが持つ力を再確認し、より国際的な展開の可能性を感じています。
2012年3月博士前期課程修了 キュレーター 吉村 麗



兼宗朋史  学部時代は日本文学部に在籍していましたが、予てより“シネフィル”であった私は、卒業後も「映画について論じたい」という思いがあり、身体表象文化学専攻の博士前期課程に進学しました(中条省平先生の著書が、学部時代からの私の愛読書であったことが当専攻を選んだ大きな理由です)。  私の研究のテーマは、映画とそれに付随する「音楽」との関係性を探ることです。先生方 は常に親身になってご助言下さるので、論文執筆における心強いサポートになっています 。  身体表象文化学専攻は、他にも演劇・マンガ・アニメーションといった各芸術に興味がある方、あるいはそれぞれを「横断」しながら幅広く学びたい方も対象としています。特に博士前期課程の段階では、各メディアを比較しながら研究の基礎を固めていくことが重要になりますし、それができることが当専攻の最大の魅力であると考えています。
2023年3月博士後期課程単位取得満期退学 兼宗朋史



koe-tawada.jpg  演劇って何だろう?
 シェイクスピアはハムレットの口を借りて「演劇は時代を映す鏡」だと答えました。私なら何と答えられるでしょうか。
 この問いの答えを、研究者は論文を書き読者に伝えます。演出家は作品を作り観客に伝えます。
 後者でもある私は、作り手の視点で19世紀末ジャポニズム演劇を研究し、研究と現場の双方の世界の「ことば」を理解できれば、独自の視点が持てると考えました。物事を多面的に捉える視点を養うことの出来る本専攻は、私には他には得難い「研究室」であり、「知の稽古場」でもあるのです。
2017年3月博士後期課程修了 大学専任教員 多和田新太良



koe-sunazawa.jpg  33年前、宮崎駿のマンガ版『風の谷のナウシカ』の連載が始まりました。私はこの作品で卒論を書きたいと考えましたが、当時それは夢のまた夢でした。28年たって「不惑」もとうに超えた私は一大決心をします。夏目房之介先生に教えを請い、あの時できなかった『ナウシカ』論を書き上げようと、身体表象文化学専攻の扉を叩いたのです。
 学問領域の一つとして思いきりマンガ・アニメを研究できる環境。すばらしい先生と気の置けない仲間たち。まるで学部生の頃に戻ったかのように気持ちが若返ったのを今でも覚えています。
 マンガやアニメを研究したい人は、まだ踏み荒らされていない未踏の原野が目の前にあります。その分、苦労することも多いでしょう。しかし、やりがいもあります。広大なマンガ・アニメの世界で何を研究するのか、したいのかを見失いそうになるかもしれません。しかし、自分のしたいことをしっかりとつかみ、ぜひあなたも身体表象文化学専攻の扉を叩いてください。
2014年3月博士後期課程修了 高校教諭 砂澤雄一





専攻紹介





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目白1-5-1北2号館6階631室 
学習院大学 人文科学研究科
身体表象文化学専攻
Tel:03-5992-1404


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