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産業革命以来、人類は科学技術の進歩による高度に発達した文明の恩恵を享受する一方で、絶えず地球環境を悪化させ続けてきた。ようやく20世紀の終わり頃になって、過去における環境破壊の反省から、フロンガス使用の撤廃や二酸化炭素をはじめとする温暖化ガス排出量削減のための国際協力などが進められている。このように地球環境は文字通りグローバルな問題であるが、一方では環境中の有害因子が人体にいかなる影響を及ぼすかを正しく評価することは極めて重要である。特に環境因子が遺伝子に与える変化は、細胞、ひいては個体の老化やがん化を促進し、個々人のQOL (quality of life)に悪影響を及ぼすとともに、遺伝病という形で子孫にもその累が及ぶ。 学習院大学では現代の生命科学の重要性に鑑み、2008年に生命科学専攻、2009年度に生命科学科を開設した。こうして数学、物理学、化学という理学の基礎に分子・細胞の科学を基盤とした生命科学分野を加え、21世紀に相応しいグローバルな理学部に生まれ変わろうとしている。 本プロジェクトでは、微生物から高等動植物に至る様々な生物について、分子レベルから個体レベルに至るあらゆる階層をその対象とすることにより、生物の特性である多様性と普遍性を「環境応答」という視点で理解し、生物が環境に応答するための普遍的な戦略を明らかにした上で、その欠損が生物に及ぼす影響、特に「老化」、「がん化」という高次生命現象を制御するための方策を得ることを目的とするものである。 そして本プロジェクトによって、これらの研究によって、がん化や老化といった社会的な要請の高い生命現象の理解が格段に進むと期待される。特に今後人類にとってますます大きな脅威となる紫外線を始めとする損傷ストレスの克服に役立つばかりでなく、免疫学の分野にも波及し、アレルギー疾患を始め、免疫系が関与する様々な病気の診断・治療にも貢献するはずである。
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