教育活動

データサイエンスプログラム

2022年度よりデータサイエンスにフォーカスした情報科目の新カリキュラムがスタートします。

近年の目覚ましい技術の進歩により、産業界におけるAI人材の需要は急速に高まり、この傾向はこれからも続くと考えられています。

データサイエンスの分野はビッグデータの社会的・産業的好価値が見出された時に再認識され、2000年代に入って著しい進歩を見せたAI技術を取り込んで、データサイエンティストという新しい職種を生み出しました。データサイエンティストは、統計など数理的な理解を背景に、AI技術とデータ分析技術を武器として、全く新しい視点による価値をデータから引き出し、社会と産業に貢献します。

AI技術が成熟してきた現在では、新しいピジネス領域を創造する人材としてグロースハッカーという職種も注目を集めています。グロース(growth)=成長のハッカーは、先端のIT技術を駆使してビジネスを実装、効果を検証し、有効であれば更に発展させることで、成長を創造するクリエーターです。現代では「AI技術を活用していかに新しい価値を創造するか」がグロースハッカーにとって成功の鍵になると言われていますが、背景として人間と社会に対する理解は欠かせません。

情報科目新カリキュラムでは、データサイエンス入門科目群を新設し、将来データサイエンティストやグロースハッカーを目指すための基礎力を養う手伝いをします。

データ分析-機械学習(AI)プログラミング・数学/統計の4分野がデータサイエンスの基礎であると言われていますが、新カリキュラムでは、これらの分野をバランスよく学べるよう科目を配置しています。また、理論を座学で学ぶより、手を動かしながら理解を進めることを重視し、ハンズオン教材を多用、クラウド上の先進の情報教育環境を利用することで、実践的な教育を目指します。

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2024年度データサイエンスプログラムガイダンス資料

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科目構成

大学生活を送る上ではもとより、社会に出ても、インターネットを含む情報環境とうまくつきあえる能力が必要になって来ています。インターネット上で提供されるサービスを有効に利用するためには知識やスキルが必要ですし、サイバー犯罪の脅威から身を守るためには倫理やセキュリティの常識を身につけておく必要があります。情報科目では、これらの基礎的な知識やスキルを情報リテラシーと呼び、情報リテラシーを習得するための科目を提供しています。また、日々進化、多様化する情報技術や情報社会について正しい理解を持つことは、現代の教養人としてとても重要なことです。加えて、近年の人工知能(AI)技術の急速な進歩は、AIの知識やスキルを活用できる人材=データサイエンティストに対する社会の需要を創出しました。情報科目のカリキュラムでは、基本から先端までのトピックを扱う教養科目と、データサイエンスへの入門となる専門科目を用意し、個々人のキャリアデザインに合わせて「情報力」を培うお手伝いをします。


情報リテラシー科目

正しい理解を持って安心安全に情報環境を利用するための知識とスキルを習得する。

  • 情報リテラシー
    • オフィスツールの利用スキル、情報倫理・セキュリティの常識など、情報環境を有効安全に利用するための最低限の知識とスキルを習得する。
  • 情報技術基礎
    • 情報社会で提供される多様なサービスの仕組みを正しく理解しながら利用できるように、ネットワーク・情報検索・情報セキュリティ・著作権などの基礎的な知識とスキルを習得する。

情報教養科目

日々進化・多様化する情報技術と情報社会について正しい理解を得る。

  • 情報技術基礎
    • 情報技術と情報社会
      • 情報技術情報社会の基礎となるトピック、先端のトピックについて、教養レベルの知識を習得する。
  • データサイエンスへの最初の一歩
    • データ分析の基礎をツールを用いた実習を通して学ぶ。
      • 情報技術の基礎を概観し、データサイエンスへの興味を涵養する。

データサイエンス入門科目

AI技術の進歩により注目を集めるデータサイエンスへの入門となる知識とスキルを習得する。

  • データサイエンスのためのプログラミング
    • Alの分野の標単的なプログラミング言語であるPythonを学ぶ。
  • プログラミングで実践的に学ぶデータサイエンス
    • プログラムによるシミュレーションを通して、データサイエンスの概念や手法の応用を学ぶ。プログラミング経験者であればより深い理解を得ることができる。
  • 原理で理解するデータサイエンス
    • データサイエンスの原理を基礎から学ぶ。「実践的に学ぶデータサイエンス」をあわせて受講すれば、実践と原理の両面から深い理解を得ることができる。
  • AI技術の重要な応用
    • 画像情報: ディジタル画像処理の数理的な基礎を理解し、プログラミングによる初歩的な画像解析手法を習得する。
    • コンピューターグラフィクス(CG): CGの開発環境について学び、プログラミングにより簡単なバーチャルリアリティを体験する。
開講科目

情報科目は、計算機センターが提供する科目であり、情報リテラシー科目・情報教養科目・データサイエンス専門科目から構成される。情報科目はいずれも週 1 回の半期 2 単位科目である。

情報リテラシー科目

大学生活に不可欠な情報活用能力を養成し、正しい理解を持って、情報技術を効果的に活用する知識・スキルを習得することを目標とする。

  • 情報リテラシー(実習付き講義)
    • 情報環境を有効かつ安全に利用する上で必要となる情報ツール(Microsoft Officeなどオフィスツール、生成AIなど)の利用スキルの修得に加え、最新の情報環境における情報倫理・著作権・知的所有権・情報セキュリティの基礎知識を身につける。
  • 情報技術基礎(実習付き講義)
    • インターネット社会で提供される多様なサービスを、仕組みを理解しながら正しく利用できるように、ネットワーク・情報検索・情報セキュリティ・著作権、Webページ・マルチメディアコンテンツ制作の基礎的なスキルを身につける。

情報教養科目

情報技術と情報社会は、日々多様化し、進化している。情報技術と情報社会に関して、正しい理解を深めることを目標とする。

  • ネットワークと通信(講義)
    • 日常的に利用しているインターネットの基本的な仕組みを、データの送受信過程に沿って段階的に学び、私たちが日常的に利用するメッセージアプリやストリーミングサービスなどが、どのようにして実現されているのかを理解する。
  • 情報セキュリティと情報倫理(講義)
    • IoT時代における情報セキュリティの重要性を理解し、サイバー攻撃への対策や暗号技術の応用、さらにプライバシーや著作権などの倫理的・法的課題について学ぶ。これらの知識を基に、日々進化する情報社会の課題を自ら分析し、技術的・社会的な解決策を考察する力を養う。
  • 暗号技術(講義)
    • 現代社会における暗号技術を中心とした情報の適切な取り扱いの重要性と、その原理や応用について学ぶ。さらに、暗号技術が法制度や経済と連携し、ビッグデータの活用など現代社会のシステムをいかに支えているかを理解し、情報セキュリティが社会に与える影響を多角的に考察する。
  • コンピューターと情報技術(講義)※
    • 現代のコンピューターの礎となっている情報理論・計算理論の概要、ハードウェア・ソフトウェアにおける工学的な技術革新について学び、コンピューターの成り立ちを数理・工学の両面から理解する。
  • 人工知能とビッグデータ(講義)
    • 近年の人工知能技術の目覚ましい発展は、ビッグデータの活用を前提としている。人工知能技術の概念・歴史・技術・技術課題を概観するとともに、ビッグデータの活用がもたらす社会問題について学ぶ。
  • 情報技術
    • インターネット社会を支える情報技術について学ぶ。基礎的で古典的な情報技術から、先端の情報技術まで、幅広い範囲から、重要なテーマを取り上げる。具体的な講義内容については、シラバスを参照すること。当科目は括弧内に記載される講義内容(テーマ)が異なれば、別科目として認められる。講義内容(テーマ)が同一のものを重複して履修した場合は、 2 科目目以降は随意科目となり、その修得単位は卒業に必要な単位には算入されない。2025年度は以下を開講する。

    • 情報技術(情報セキュリティの現場)(講義)
      情報セキュリティの第一線で社会を守っている著名なハッカーを講師に迎え、豊富な実例のデモやハンズオンを活用して、分かりやすく情報セキュリティの現実について学ぶ。

  • 情報社会
    • 情報技術の社会実装である各種サービスの仕組みや、情報社会が抱える問題などについて学ぶ。具体的な講義内容については、シラバスを参照すること。当科目は括弧内に記載される講義内容(テーマ)が異なれば、別科目として認められる。講義内容(テーマ)が同一のものを重複して履修した場合は、 2 科目目以降は随意科目となり、その修得単位は卒業に必要な単位には算入されない。2025年度は以下を開講する。

    • 情報社会(人工知能の現場)(講義)
      人工知能を社会に提供している企業の代表をコーディネータに迎え、実社会の広い分野で活用されている人工知能について、企業人・大学教員などをゲスト講演者としてオムニバス形式を主とした授業を行う。

  • 表計算ツールによるデータ分析(実習付き講義)
    • 統計解析ツールまたはR、Pythonなどのプログラミング言語を利用しながら、基本的なデータ分析を実践するためのスキルを身につける。ハンズオン教材を利用し、受講者は授業中に統計解析ツールを使用した作業を通じて、データ分析の手法と統計解析ツールの利用法について学ぶ。
  • プログラミング初級(実習主体)
    • プログラミング言語を学び、プログラミングの基礎を身につける。学習するプログラミング言語については、シラバスを参照すること。プログラミングの経験がなくても履修できる。
  • プログラミング中級(実習主体)
    • 「プログラミング初級」履修程度の知識を前提とし、プログラミングの実践的なスキルを身につける。学習するプログラミング言語については、シラバスを参照すること。「プログラミング初級」を履修していなくても、同程度の知識があれば本科目を履修することができる。
  • 計算機科学とプログラミング初級(実習主体)
    • デジタル回路・ブール代数などの計算機科学の基礎と、プログラミングの初歩を学ぶ。物理・化学・生物学からのトピックを例題に選ぶ。
  • 計算機科学とプログラミング中級(実習主体)
    • 「計算機科学とプログラミング初級」履修レベルの知識を前提として、プログラミングを通して科学問題を観る・解くという視点を養う。物理・化学・生物学からのトピックを例題に選ぶ。「計算機科学とプログラミング初級」を履修していなくても、同程度の知識があれば本科目を履修することができる。
  • コンテンツ制作技術(実習主体)※
    • Webページ・マルチメディアコンテンツを作成・編集するためのスキルを、ツールを使った実習を通して習得する。
  • 情報理論概論(講義)
    • 情報理論の中心概念である情報量の理解を通して、データ圧縮の理論とアルゴリズム、誤り訂正の理論について学ぶ。データサイエンス専門科目への導入科目。
  • コンピューター科学概論(講義)
    • コンピューター科学の基礎を網羅的に学ぶデータサイエンス専門科目への導入。コンピューターの歴史的発展から、ブール代数、論理回路などコンピューターの動作原理にかかわる内容を幅広く扱う。
  • 人工知能概論(講義)
    • 機械学習・ニューラルネット、人工知能、人工知能の実装について、最近のトピックを紹介しながら網羅的に概説する。データサイエンス専門科目への導入科目。
  • データ分析プログラミング(実習付き講義)※
    • データサイエンスの実務で利用されるプログラミング言語による演習を通して、データ分析の概要を学ぶ。データサイエンス専門科目への導入科目。

データサイエンス専門科目

データサイエンティストを志す学生のための科目群である。データサイエンスの実務は、数理的概念の理解とプログラミングによる実践能力の基礎の上で、応用領域に対する知識を活用することで実践される。基礎を学ぶための科目群に加え、データサイエンスでは、応用技術・応用領域を理解する上で重要なテーマを取り上げる。

  • データサイエンスのための数学基礎1・2 (講義)
    • データサイエンスの基礎を理解するために必要な数学の知識をピックアップし、実践的な視点も交えて、効率的に学ぶ。高校数学の知識を仮定するが、必要に応じて復習を行う。2025年度は、データサイエンスのための数学基礎 1 のみを開講する。データサイエンスのための数学基礎 2 は2026年度以降開講の予定。
  • データサイエンスのための情報理論(講義)
    • データサイエンスでは、情報理論と統計が中心的な役割を果たす。統計における分散と対比しながら、情報理論の中心概念である情報量を理解する。
  • プログラミングで学ぶ情報理論(実習主体)
    • データサイエンスの実務で利用されるプログラミング言語を用いたプログラミング実習を通して、情報理論の中心概念である情報量を理解する。
  • データサイエンスのための統計(講義)※
    • データサイエンスでは、情報理論と統計が中心的な役割を果たす。検定を中心に、データサイエンスにおける統計の考え方を理解する。
  • プログラミングで学ぶ統計(実習主体)※
    • データサイエンスの実務で利用されるプログラミング言語を用いたプログラミング実習を通して、検定を中心にデータサイエンスにおける統計の考え方を理解する。
  • 基礎のアルゴリズム(講義)
    • 膨大な量のデータを取り扱うデータ分析においては、実行速度は分析手法の性能を評価する上で、重要な指標である。計算量の観点からアルゴリズムを理解する。
  • プログラミングで学ぶアルゴリズム(実習主体)
    • 複数の分野におけるアルゴリズムを実際にプログラミングしながら、計算量の観点からアルゴリズムを理解する。
  • 基礎の機械学習(講義)
    • 機械学習は人工知能の基幹となる考え方であり、データサイエンスの最も重要な手法の源の一つである。機械学習の基本概念とデータ分析の基本的な手順を理解する。
  • プログラミングで学ぶ機械学習(実習主体)
    • データサイエンスの実務で利用されるプログラミング言語を用いたプログラミング実習を通して、機械学習の基本概念とデータ分析の基本的な手順を理解する。
  • 基礎のニューラルネット(講義)
    • 人工ニューラルネットワークは、現代の人工知能技術の中核を成す革新的な機械学習手法である。この授業では、1950年代に考案された単純なパーセプトロンから、現代の複雑なディープラーニングモデルまでの発展をたどりながら、ニューラルネットワークの原理的な仕組みを理解する。
  • プログラミングで学ぶニューラルネット(実習主体)
    • プログラミング実習を通してニューラルネットの原理的な枠組みを理解するとともに、ニューラルネットをプログラミングするための言語も習得する。
  • 画像情報(実習付き講義)†
    • ディジタル画像処理の数理的な基礎を理解するとともに、プログラミングによる初歩的な画像解析手法を習得する。「コンピューター・グラフィックス」と隔年で交互に開講する。2025年度は開講しない。
  • コンピューター・グラフィックス(実習付き講義)†
    • コンピューター・グラフィックス(CG)の入門講義。CGの開発環境について学び、プログラミングにより簡単なバーチャルリアリティ(VR)体験を実装する。「画像情報」と隔年で交互に開講する。2025年度は開講する。
  • データサイエンス※
    • データサイエンスの応用領域における重要なテーマをピックアップする。具体的な講義内容については、シラバスを参照すること。当科目は括弧内に記載される講義内容(テーマ)が異なれば、別科目として認められる。講義内容(テーマ)が同一のものを重複して履修した場合は、 2 科目目以降は随時科目となり、その修得単位は卒業に必要な単位には算入されない。

※:2025年度は開講しません。2026年度以降については、シラバス等で開講情報を確認して下さい。
†:隔年で交互に開講します。

履修に関する注意

  1. コンピューター実習をおこなう授業ではコンピューター台数の制約から人数制限を行うため、抽選を実施する場合がある。抽選実施の有無については、シラバスを参照すること。抽選方法については、別途通知する。
  2. 「情報リテラシー」は、 1 学期開講の 1 年生向けクラスに限りクラス指定をしている。 1 年生は 1 学期に指定されたクラス以外の授業を履修した場合、単位が与えられない、または、単位が卒業単位に算入されないことがあるので、特に注意すること。
  3. 2 年生以上の学生は、 2 年生以上向けのクラスまたは 2 学期開講のクラスを履修すること。
修了要件

以下の2つの修了証を発行します。修了要件はリンク先のファイルをご覧ください。
リテラシーレベル
応用基礎レベル