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学習院大学文学部史学科の特色
史学科で歴史を学ぶということは、ただ知識を勉強するのではありません。みずからの手で、歴史を研究し叙述するのです。日本、東洋、西洋の、世界のあらゆる地域のあらゆる時代に思いをはせながら、研究の主題を定め、これまでに積み重ねられてきた学問の成果を検討し、史料や素材を探求し、自身の方法を修練し、そして思索を重ねて文章に表現する。こうして卒業論文を作成するまでになるのです。このようにして、学問の場に時を重ね、実力を身につけた学生時代の記念としての卒業論文が、まぎれもない自身の著作として、みなさんの書棚の一冊に加わることになるのです。
史学科の特色
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日本史・東洋史・西洋史の3分野一体の教育
高等学校までの「覚える歴史科目」とはまったく異なった学び
日本の大学における歴史系の学科では、「日本史学科」「東洋史学科」「西洋史学科」などのように、入学の時点で専攻する分野が分かれている場合が少なくありません。しかし、本史学科では、入学時点で専攻する分野の区別をせず、1年次の学習の過程で興味を伸ばし、2・3年次に専門とする分野を定めてゆくよう指導しています。専攻分野への分属はどの演習に所属するかという形で行いますが、各演習は履修する人数の制限を行いませんから、複数の演習に所属することも可能です。

高等学校までの学習段階では、専門に研究するテーマを決めかねる学生も多いのが現実です。また、学び研究する対象も、高等学校までのそれとは異なって、はるかに広範なものになります。大学の歴史学では「発見」が重んじられ、高等学校までの「覚える歴史科目」とはまったく異なった学び方になります。自分でテーマを決めて、史料や研究文献を集め、読解・調査を行うことが中心で、いわば「探求する歴史研究」となるのです。本史学科では、高等学校までの覚える態度を脱して、新たな関心を育てながら、探求する研究の要領を身につけるように指導しています。
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文献史学の伝統を継承する歴史研究
「文献史学」と呼ばれる学問方法
本史学科では、「調べ・発見する」営みのなかでも、特に「過去の人々が文字の形で書き残した歴史資料」〔これを特に「史料」と呼びます〕から歴史の真実を見いだしてゆくことを重視しています。 一般に「文献史学」と呼ばれる学問方法です。

歴史の研究には、どのような材料によってこれを行うかによって、いくつかの学問分野があります。「文字に書かれた歴史資料」を「史料」と呼びますが、史料を手がかりとするのが「文献史学」です。この他に、遺物・遺跡などの考古資料を手がかりとする考古学、民具・民話や習俗など民俗資料を手がかりとする民俗学、美術資料を手がかりとする美術史学、文学作品・文学資料を手がかりとする文学〔文学史〕研究などが、異なる学問領域としてあります。

文献史学においては、史料が大切です。その理由は、描こうとする世界〔歴史像〕の真実性を裏付ける証拠となるためです。同史料を見ても、それから何を読み取りたいのかという動機は、人によりさまざまです。もしも、過去の世界の真実が、それを描こうとする者しだいで、思うままに何とでも描けてしまうものであるのならば、学問としての歴史研究は社会の共有財産として存在することはできません。史料を残した人の姿を正確に見つめようとすると、本当に言おうとしたことは何だったのか、その史料が残されたときの状況をどのように復元すべきなのかとうことについて、合理的な解釈はひとつに決まるはずです。本史学科では、文字に書き残された史料を使って歴史の真実に迫る力を身につけることを修練の要点にすえています。

なお、2008年度より新しく大学院に設けられた「アーカイブズ学専攻」は、歴史研究を主眼とする大学院「史学専攻」とともに史学科と関係の深い課程です。歴史史料はもちろん、行政機関・企業などの社会的な組織が日々産み出す文書の整理・保存と管理・公開に関わる諸問題を研究し、実務を担う専門家〔アーキビスト〕を育成する課程で、日本で初めて本格的に設置されました。史学科の授業でも、これに関わる授業科目を用意しています。
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社会に活きる人間に育てる
楽しむ立場から探求者に脱皮
自分自身の調査をもとに、解釈や推論を工夫して、400字詰め原稿用紙に換算して100枚程度の卒業論文を作成するのが、4年間の勉学の総仕上げとなります。卒業論文では「まだ誰も述べたことがない」調査結果が、説得力のある形で盛り込まれているのかどうかという点が、重視されます。「誰かの描いた歴史」を楽しむ立場から、「まだ誰も見極めたことのないことがらを見定めて報告する」探求者に脱皮してもらうことを、教育の目標にしています。
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