教員紹介

海老根 准教授

海老根 量介 准教授
EBINE, Ryosuke
東洋古代史

■略歴

1984年生まれ
2014年 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学
学習院大学東洋文化研究所助教
2018年 東京大学大学院人文社会系研究科助教
2021年 学習院大学文学部史学科に着任

■研究テーマ・分野

 中国古代史、その中でも特に春秋戦国時代から秦漢時代を主要な対象として研究を進めています。主な史料として扱っているのは、竹簡や木簡、帛書などに代表される出土文字史料です。こうした出土文字史料は、中国の経済成長と開発の進展により各地で続々と発掘されており、学界の通説を塗り替えるような貴重な内容を持つものも少なくありません。
 学位論文で主題としたのは「日書」という占いの書物です。中国古代の人々は、日常生活のなかの様々なことがらについて日取りの吉凶を占うために「日書」を参照していたので、これを手がかりにして当時の社会や文化をうかがい知ることができます。もちろん当時の社会を知るためには他の史料も参照することが欠かせません。秦漢時代であれば、法律や裁判記録、行政文書などが出土しており、これらを合わせて参照しながら研究を進めています。
 また、「日書」は主に戦国時代の楚を受け継ぐ地域から出土していることから、楚についても研究するようになりました。中国を統一した秦や漢に関する史料は多いのですが、楚については分からないことばかりです。楚簡(楚の竹簡)中に見られる説話・故事や青銅器銘文なども含め、限られた史料を駆使して楚の統治システムを理解しようと試行錯誤しています。
 その過程で、春秋戦国時代の説話・故事にも興味を持つようになってきました。楚簡中の説話・故事は『春秋左氏伝』などの伝世文献と対応する内容も多く含まれており、こうした伝世文献の成り立ちを探る手がかりとなり得ます。『春秋左氏伝』については、かつて史学科教授・学長を務められた小倉芳彦先生がすぐれた研究を多く残しています。私が学習院大学に着任したのも何かの縁だと思いますので、今後はこの方面の研究にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

[主要講義・演習]

東洋史特殊講義
東洋史演習
東洋史概説

■主要研究業績

 
2021年 「関於包山楚簡中所見“県”的若干認識」(徐少華・谷口満・羅泰主編『楚文化与長江中遊早期開発国際学術研討会論文集』武漢大学出版社)
2020年 「岳麓書院蔵秦簡《置吏律》札記」(王捷主編『出土文献与法律史研究』第9輯、法律出版社)

2019年

「霊王所“遂”者究竟為何国?――《霊王遂申》再考」(『文字・文献・文明』上海古籍出版社)
2018年 「戦国期楚における「日書」の利用について」(『東洋文化』第98号)
2017年 「秦漢の社会と「日書」をとりまく人々」(『東洋史研究』第76巻第2号)
2016年 「放馬灘秦簡を中心にみた「日書」の流通」(『日本秦漢史研究』第17号)
「春秋中〜後期の申の復国問題について」(『史学雑誌』第125編第1号)
2014年 「「盗者」篇からみた「日書」の流通過程試論」(『東方学』第128輯)
2012年 「放馬灘秦簡鈔写年代蠡測」(武漢大学簡帛研究中心主弁『簡帛』第7輯、上海古籍出版社)
2010年 「戦国『日書』に反映された地域性と階層性――九店楚簡『日書』・放馬灘秦簡『日書』の比較を通して――」(『中国出土資料研究』第14号)

【私のゼミ(学部)で学ぼうとする皆さんへ】

 上述の通り、私は自分の研究では出土文字史料を扱うことが多いのですが、中国古代史研究で基礎となるのはやはり伝世文献ですから、演習では『史記』をはじめとする文献史料を読んでいきたいと思います。「なんとなく読めればいいや」と考えるのではなく、「本当にこの読みでいいのか?」と疑問を持ちながら慎重に読み進めていくことで、使い古された史料であってもまだまだ思わぬ発見があるものです。授業を通じて、史料を読み解く楽しさ、新しい発見をすることの喜びを感じ取ってもらいたいと願っています。

【私のゼミ(大学院)で学ぼうとする皆さんへ】

大学院のゼミでは出土文字史料を中心に、なまの史料に積極的に取り組んでいきたいと思っています。簡帛や金文などの出土文字史料は、専門 家であっても読み方がよく分からないことがざらにあります。そのような史料を前にすれば、教員も学生もありません。皆で議論をとことん戦わせて、知恵を出し合って読解していきましょう。
 図版を確認し、文字を確定させ、読み方を検討し、注をつける…という作業は、すべての研究の基本となるものです。毎回の作業を通じて、史料を正確に理解する能力や、研究者として必要な着眼点などを養っていくことを目指します。

Key words: Bamboo and silk manuscripts, ancient Chinese history, Ri-shu(日書), Warring states period, Qin and Han dynasty


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