学習院大学 法学部 | 法学科|政治学科

巣立つ卒業生インタビューInterviews with Graduates

♥ 西田さんのある1日 ❶♪ 連ドラ執筆のピーク

10:00
起床
10:15
脚本執筆
13:00
電話で関係者と打ち合わせ
13:15
脚本執筆
20:00
30 分ほど仮眠
20:45
脚本執筆
7:00
就寝

♥ 西田さんのある1日 ❷♪ お父さんモード

8:00
起床
9:00
息子を保育園へ送った後、車の中で電話で打ち合わせしながら帰宅
9:30
脚本執筆
12:00
お昼休憩
13:00
脚本執筆
18:00
家族と夕飯を食べる
20:00
息子をお風呂に入れて寝かしつけ
0:00
就寝

法律の存在がもっと身近になる、そんな作品を書いてみたいですね。

自分の夢を応援してくれた仲間

 他の卒業生の方々と比べると私の学生時代は異色かもしれません。父が学習院大学法学部の出身だったこともあり、学習院高等科から法学部へ進みましたが、学業より芸能の道に明け暮れる日々を過ごしました。
 実は初めから脚本家を目指していたわけではなく、最初のキャリアはお笑い芸人。高校3年生の冬に芸能プロのオーディションに合格し、大学入学前から芸人として活動を始めることになったんです。両親には大学卒業を約束に活動を認めてもらったので、お笑いの仕事をこなしつつも単位取得のため必死に試験勉強をこなしていました。 そんな中、役者としてお芝居に出演する機会があり、そこから脚本家としての道が開けました。大学卒業後は就職活動をせず、脚本家として生計を立てる道を選びましたが、とはいえこの仕事で食べていけるようになったと言えるのは、30歳を過ぎてから。なかなか芽の出ない時期にも学習院時代の友人たちはいつも応援してくれ、それが心の支えとなりました。ひとり夢を追う道を選んだ私の生き方を、否定することなく尊重してくれた仲間たちは、私にとってかけがえのない財産。出会いの場となった学習院には感謝しています。

〝 法学部出身〟という自分の色

〝 法学部出身〟という自分の色

 脚本家になってからは法学部出身と言うと珍しがられるようになりました。やはり芝居といえば文学部のイメージが強いのでしょう。たしかに文学部だったら仕事に活かせる学びがもっとあったのかなと思うことはありますが、法学部だからといって、アートや創作の道が断たれるわけではありません。私だけでなく、どんな脚本家でもその人にしか書けないものが必ずあります。私の場合は法学部出身であること、芸人時代に学んだこと、これまで経験してきたことすべてが、作品に表れていると思います。
 たとえば、弁護士が主役のリーガルエンタメドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS系、2022年)は、法学の知識を直接活かせる脚本でした。世の中では「法律は難しい」と思われがちですが、味方にすればとても心強いもの。法律をもっと身近に感じられる、悩みの解決につながるような情報を届けられる、そんな作品を書いてみたいですね。一見、法律とは関係ない脚本でもどこかに法律的なフィルターはあるかもしれません。ふだん意識しない人も多いでしょうが、私の場合、「日本人は日本国憲法、日本国の法律を前提とした世界で生きている」という感覚を強く持っています。同じように私の作品の中でも、人々はなんらかのルールの中で生きている。アニメシリーズ『TIGER & BUNNY』(MBS系他、2011〜2022年)では、犯罪者を私刑という形で葬るキャラクターが登場しますが、これは作品世界に「法的に死刑が存在しない社会」という前提があってこそ生きてくるキャラクターだと思っています。

人生の後押しをしてくれる場所

人生の後押しをしてくれる場所

 今、人生を振り返ってみるとすべての出発点は、高校生のときに感じた「敷かれたレールの上を歩く人生は嫌だ」という気持ちだったかもしれません。高校時代は水球部に所属していたのですが、ここで大学の水球部の先輩方の指導を受けました。部活中には先輩同士の会話で就職活動が話題に上ることも多く、「卒業したらみんな同じように会社員になるのだろうか。自分はそれでいいのだろうか」という疑問が湧いてきたんです。まあ、そういう年頃だったんだとは思いますが。そして、結果的に僕が選んだのが芸人の道でした。
 大学卒業後は企業などに就職する人が大半だと思いますが、「なんとなく」で就職先を決めるのではなく、なぜ就職するのか、どう就職するのか、どんな仕事をしていくのか、ということを意識してほしいですね。学習院というのは、そうした「自分の人生の選択」を後押ししてくれる場所だと思います。