学習院大学 法学部 | 法学科|政治学科

巣立つ卒業生インタビューInterviews with Graduates

♥ 山木さんのある1日

5:30
起床
6:00
自宅を出て、捜査員への朝駆け取材
9:00
警視庁・記者クラブに到着し、昼のニュースに向けた準備
12:30
昼食
13:00
担当する所轄署などへの取材や資料調べなど。不規則な仕事柄、この時間帯に休憩をとることが欠かせない
20:00
捜査員への夜討ち取材
23:30
帰宅
memories ♪学生時代
memories ♪学生時代
大学4年生の夏、引退前最後のリーグ戦にて。自身はメンバーとしての出場は出来なかったが、同期がメダルを掛けてくれた。

政治学科で学んだ幅広い授業が記者としての足腰を作ってくれました。

コロナ禍を機に社会部記者へ――

 私は2015年4月にアナウンサーとしてテレビ朝日に入社しました。大学4年間、ゴルフ部に所属していたことから、ゴルフやスポーツに携わる仕事がしたいと思い、スポーツ実況に興味を持っていたからです。
 実際にアナウンサーになってからは、1年目からゴルフの実況をはじめ、スポーツイベントの仕事や、『羽鳥慎一モーニングショー』で4年弱、あらゆるジャンルを取材するリポーターを担当。BSやCSなどでもスポーツ実況の仕事を担当しました。入社以降、私はアナウンサーとしてとにかく見聞きするものすべてを言葉にするという特訓を続けていましたが、実際に座っていざ実況するとなると、また違う難しさがありました。苦戦しながらも「もっとうまくなりたい」という向上心もかきたてられ、やりがいも感じられるようになっていました。
 2020年のコロナ禍に入った直後、スポーツイベントが軒並み中止になりスポーツ実況の仕事も激減。テレワークが続き、仕事がない焦りを感じていた矢先に社会部への異動の内示を受けました。警視庁の捜査一課の担当になり、現在3年目ですが、警視庁クラブのサブキャップを担当するとともに今は記者用語で“仕切り”という捜査一課案件を取材する4人チームのリーダーをしています。
 捜査一課は殺人、放火、強盗、強制わいせつ、誘拐、立てこもりなどの凶悪犯罪の捜査を担当する課です。事件の最前線で取材活動をするなかで、ご家族を殺されたばかりの遺族の方に取材をするときなどは、かける言葉が見つからず逡巡することも多々あります。まだまだ勉強中ではありますが、相手の境遇に思いを馳せ、気持ちに寄り添った取材をすることを心がけるようにしています。

学生時代に培った運営力

学生時代に培った運営力

 記者の仕事のなかで私が特に大変だと思っていることは、人間関係を築くこと。取材相手である事件の被害者や警察関係者だけではなく、一緒に仕事をする同僚記者たちとの関係性が大切だと切に感じています。警視庁記者クラブは、社会部が担当する省庁のなかでも人数が多く、一緒に働く同僚たちとの連携や支え合いが欠かせません。私は捜査一課担当のチームリーダーを担っていますが、チームとして仕事を進めるうえで、それぞれの意見が違うのであれば、それをきちんとぶつけ合うべきだと考えています。よりよい取材をするためには、チームが同じ方向を向いて仕事に取り組むことが欠かせませんから。
 今にして思うのは、こういう考え方が身についたのは、学生時代の経験が大きいということ。私は学生時代、男女合わせて60名ほどのゴルフ部に所属していましたが、先輩方から指名され、副将を務めていました。ただ、選手として優秀な成績を収めているわけではなかったので、私はチーム運営のほうで自分の役割を見出すことにしました。いわゆるバランサー、調整役です。体育会系の部活で培われたチーム運営力は、まさに今の仕事にも生きているのだと感じています。

習院でのすべてが現在の礎に

習院でのすべてが現在の礎に

 学習院大学は、都内にある他の4年制大学と比べて規模が小さく、アットホームな雰囲気が良いところのひとつだと思っています。私は学生時代、学食前の広場によくいましたが、必ず知り合いに会えました。人が人を繋ぎ、学部や部活やサークルの垣根も超えた多くの友人は、私の人生の財産となっています。 学生同士だけではなく、学生と教授との距離感も近いと感じます。私は毛沢東以降の中国現代政治のゼミを取っていましたが、教授は生徒の自主性を重んじつつも、すぐ近くで的確なアドバイスをくれました。特に、政治学科は政治学だけでなく、国際関係論や社会学のカリキュラムも充実しています。メディアに関する授業も多く、大学4年間での経験すべてが、社会部記者として歩み始めた私の礎になっていると思います。