社会を動かす知的創造力の養成
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今や世界的に、大学院に進学して研究論文を執筆する経験を積むことが、各方面で指導的地位に立つ人にとって必須となっています。
現代社会は情報・知識をベースとするところが大きいですから、当然でしょう。
この点、日本は人への投資を怠り、だいぶたち遅れてしまいました。
長年停滞するのも道理です。特に日本の弱点は政治や行政のあり方にあるように思われます。
残念ながら「政治改革」は失敗し与野党とも人材難で、「行政改革」はお金を惜しんで行政の能力を劣化させたように感じます。
経済のことしか考えない視野の狭さで、社会の諸課題が先送りされ、結局経済は回復しませんでした。
「国益が大事」という人が国益を損なうこともしばしばでした。
そこに危機対応能力など望むべくもありません。希望があるとすれば、それは研究意欲のある皆さんです。
本研究科で学位取得をめざし、研鑽を積んでもらいたいと願っています。
無から有を生み出し、誰も言わなかったことを言う創造は、困難に満ち、勇気の要ることで、決して安逸な道ではありませんが、その中に楽しみもあります。
皆さんこそが、世界にはばたき、社会を動かし、日本をより良くしてくれるものと信じます。
新たな『専門知』を求めて
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「大学院で学んだ知識なんて、実際の社会では役に立たない」という批判を耳にすることがあります。
しかしながら、社会科学は社会との接点なしには存在せず、「机上の空論」ではあり得ません。
それはこの大学院のカリキュラムを見れば理解してもらえるはずです。大学院での研究は、目の前で悲惨な現実に苦しむ人々を「すぐに」助ける力にはならないかも知れませんが、問題を大局的に捉えて根源的に解決していく「知の力」を養うものです。
クローズアップ写真は、細部が鮮明でも全体像はわからず、一歩離れて全体を俯瞰することで、問題の本質がわかることがあります。
大学院で、ズームアップと鳥瞰図の両方で社会を捉えられるような技術=知の力を身につけ、社会とどう関わっていくかを、10年後20年後を見据えて考えていって下さい。
我々教員も、意欲ある院生と一緒に、社会との関わりのなかで、新たな「専門知」を探求していきたいと思っています。
大学院で政治学を学ぶ
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学部では、広く政治学に関連する科目の中から、自分の関心に従って単位を揃えるという勉強の仕方が普通でしょう。
しかし、大学院は違います。
各自が自分の専門について、具体的なテーマを設定し、それについて調査を行い、その結果を論文にまとめることになります。同種の作業は学部でも行われるかもしれませんが、大学院における研究のテーマはいまだ取り組まれていない新しいものが求められますし、成果や結論には先行する研究を前にしてオリジナリティがなければなりません。
こうした作業を独学で行うには限界があります。
政治学研究科のスタッフは、政治学と社会学の各分野で活躍し学界で高い評価を受けている教員から構成されており、その教員が指導教授となって、論文のテーマ設定や研究の進め方、さらには論文作成の方法についてきめ細かな指導を行うところに本研究科の特徴があります。政治や社会にかかわる興味深いテーマを発見し、それについてさらに詳しく学びたい方、そして何より、オリジナルな論文を書くという極めて魅力的な営みに挑んでみたい方、そうした方にはぜひ、本研究科で研究生活を開始していただきたいと思っています。