史学科 学科紹介

学科の特色

 史学科で歴史を学ぶということは、ただ知識を勉強するのではありません。みずからの手で、歴史を研究し叙述するのです。日本、東洋、西洋の、世界のあらゆる地域のあらゆる時代に思いをはせながら、研究の主題を定め、これまでに積み重ねられてきた学問の成果を検討し、史料や素材を探求し、自身の方法を修練し、そして思索を重ねて文章に表現する。こうして卒業論文を作成するまでになるのです。このようにして、学問の場に時を重ね、実力を身につけた学生時代の記念としての卒業論文が、まぎれもない自身の著作として、みなさんの書棚の一冊に加わることになるのです。
歴史遊学

■スタッフと研究・教育の実績

 史学科は1961年の発足当初から、日本史・東洋史・西洋史の3分野が一体となって教育・研究に取り組んできました。現在の専任教員は日本史4名・東洋史2名・西洋史3名です。学生定員は3分野をあわせて1学年85人です。
<史学科教員一覧>
日本史 鐘江宏之(古代史) 家永遵嗣(中世史)
高埜利彦(近世史) 千葉功 (近代史)
東洋史 鶴間和幸(古代史) 武内房司(近代史)
西洋史 島田誠 (古代史) 亀長洋子(中世史)
中野隆生(近代史)
助教 近藤祐介(日本中世史)

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■ 日本史・東洋史・西洋史の3分野一体の教育

 日本の大学における歴史系の学科では、「日本史学科」「東洋史学科」「西洋史学科」などのように、入学の時点で専攻する分野が分かれている場合が少なくありません。しかし、本史学科では、入学時点で専攻する分野の区別をせず、1年次の学習の過程で興味を伸ばし、2・3年次に専門とする分野を定めてゆくよう指導しています。専攻分野への分属はどの演習に所属するかという形で行いますが、各演習は履修する人数の制限を行いませんから、複数の演習に所属することも可能です。
  高等学校までの学習段階では、専門に研究するテーマを決めかねる学生も多いのが現実です。また、学び研究する対象も、高等学校までのそれとは異なって、はるかに広範なものになります。大学の歴史学では「発見」が重んじられ、高等学校までの「覚える歴史科目」とはまったく異なった学び方になります。自分でテーマを決めて、史料や研究文献を集め、読解・調査を行うことが中心で、いわば「探求する歴史研究」となるのです。本史学科では、高等学校までの覚える態度を脱して、新たな関心を育てながら、探求する研究の要領を身につけるように指導しています。

<日本史・東洋史・西洋史の卒業論文提出者数推移>
  日本史 東洋史 西洋史 合計
2007年度 53 19 24 96
2006年度 54 13 28 95
2005年度 42 18 29 89
2004年度 58 19 31 108
2003年度 52 14 23 89

 日本史・東洋史・西洋史のどの分野で卒業論文を書くのかということは、2年次以降に9つあるどの演習(ゼミ)に所属するのかで決まります。複数のゼミに所属することも認めています。2年次になってから所属するように設定していることには、実際に大学の学問に触れるなかで本当にやりたいテーマを見つけ出してもらうこと、また、個々の分野の狭い視点に閉じこもることなく、幅広い視野を身につけてもらうこと、このふたつのねらいがあります。このため、特に1・2年次では、日本史・東洋史・西洋史の3分野にまたがった学習を求めています。「こんな世界があったなんて知らなかった」という本物の驚きや感動が、みなさんの本当の力を引き出すためのきっかけになるからです。
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■ 文献史学の伝統を継承する歴史研究

 本史学科では、「調べ・発見する」営みのなかでも、特に「過去の人々が文字の形で書き残した歴史資料」〔これを特に「史料」と呼びます〕から歴史の真実を見いだしてゆくことを重視しています。一般に「文献史学」と呼ばれる学問方法です。
  歴史の研究には、どのような材料によってこれを行うかによって、いくつかの学問分野があります。「文字に書かれた歴史資料」を「史料」と呼びますが、史料を手がかりとするのが「文献史学」です。この他に、遺物・遺跡などの考古資料を手がかりとする考古学、民具・民話や習俗など民俗資料を手がかりとする民俗学、美術資料を手がかりとする美術史学、文学作品・文学資料を手がかりとする文学〔文学史〕研究などが、異なる学問領域としてあります。
  文献史学においては、史料が大切です。その理由は、描こうとする世界〔歴史像〕の真実性を裏付ける証拠となるためです。同じ史料を見ても、それから何を読み取りたいのかという動機は、人によりさまざまです。もしも、過去の世界の真実が、それを描こうとする者しだいで、思うままに何とでも描けてしまうものであるのならば、学問としての歴史研究は社会の共有財産として存在することはできません。史料を残した人の姿を正確に見つめようとすると、本当に言おうとしたことは何だったのか、その史料が残されたときの状況をどのように復元すべきなのかということについて、合理的な解釈はひとつに決まるはずです。本史学科では、文字に書き残された史料を使って歴史の真実に迫る力を身につけることを修練の要点にすえています。

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■ 新しい研究分野への着目・展開

 「文献史学」は歴史研究の中でも古い歴史を持つオーソドックスな学問分野ですが、対象とする問題や地域は時代の移り変わりに随って大きく変化しています。本史学科では伝統的に積み重ねられてきた研究方法を継承するとともに、新しい問題・地域についても積極的に取り組み、学問の領域を拡大することに努力しています。
  日本・東洋・西洋いずれについても、古代史研究では考古遺物を利用して研究を広げることが一般化しています。スタッフは木簡・竹簡・金石文など新発見の史資料を積極的に利用することで成果を挙げています。中世史・近世史・近代史では、都市・宗教・芸能・社会意識など新しい側面に着目して社会のありかたを解きほぐす研究を積極的に進めています。伝統的な政治史の分野でも、従来の認識に転換を迫る研究を進めています。これらは個々の教員のプロフィールのなかで確認していただけるでしょう。
  授業展開でも、最先端の内容を示すことに配慮しています。日本史特殊講義では新しい史料の利用、対外関係・社会構造などの新しい研究分野に着目した授業を展開しています。東洋史特殊講義では東南アジア・韓国・イスラムなど中国以外の地域も、西洋史特殊講義でも、東欧などの地域も広く対象に含めるよう配慮しています。
  2008年度より新しく大学院に設けられた「アーカイブズ学専攻」は、歴史研究を主眼とする大学院「史学専攻」とともに史学科と関係の深い課程です。歴史史料はもちろん、行政機関・企業などの社会的な組織が日々産み出す文書の整理・保存と管理・公開に関わる諸問題を研究し、実務を担う専門家〔アーキビスト〕を育成する課程で、日本で初めて本格的に設置されました。史学科の授業でも、これに関わる授業科目を用意しています。
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■ 社会に活きる人間に育てる

 自分自身の調査をもとに、解釈や推論を工夫して、400字詰め原稿用紙に換算して100枚程度の卒業論文を作成するのが、4年間の勉学の総仕上げとなります。
  卒業論文では「まだ誰も述べたことがない」調査結果が、説得力のある形で盛り込まれているのかどうかという点が、重視されます。「誰かの描いた歴史」を楽しむ立場から、「まだ誰も見極めたことのないことがらを見定めて報告する」探求者に脱皮してもらうことを、教育の目標にしています。
  ナマの現実が反映されている史料から、自分自身の感性と読解力を頼りに、真実を探ってゆく営みは、現代社会で直面する多くの問題に対処するうえで、大きな意味をもっており、社会人として行う日常的な業務にも応用できる能力です。独自に証拠を調べ上げて他の人を説得するという力を身につけることは、社会のどのような場に身を置くとしても、必ず大きな助けになります。4年次に原稿用紙100枚という長大かつ論理的な文章を書き上げたあとでは、10枚や20枚といった分量の文章を書くことはそれほどたいしたことではないと感じられるようになるでしょう。本史学科での学生生活を経て、現実の中から問題を発見し、そのことについて人に説得力のある説明をし、社会に活かしていくことのできる人物が、生まれていくと考えています。
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