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共同研究プロジェクト

島田 誠 教授プロジェクト

『西洋史史料における公私の区分とその相関についての研究』

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1. 目的・内容・期待される効果など

 本研究の目的・内容・意義:本研究は、近年の研究動向に基づいて、西洋史各分野における史料の性格とその位置づけを検討し、西洋史における史料学の再構築をはかるものである。19世紀にL・ランケがヴェネツィア大使報告書(レラツィオーニ)を用いた研究を行って以来、「公的史料」の優位は自明のこととされ、公私の区分は西洋史史料学の基本的な区分とされてきた。ところが現実には、同じ西洋史でも古代・中世・近代・現代の各分野や地域毎に公私領域の定義は異なる。さらに近年の研究では書簡・日記・覚書・聞き書きなどの「私的史料」にも史料的価値が認められる方向にある。またレラツィオーニに私的なメモとしての性格が指摘されるなど、「公的史料」と「私的史料」との境界も曖昧となっている。本研究では、西洋史各分野における公私区分の理論的検討とケーススタディを通じて、各分野の研究者が意見を交換し、西洋史史料学再構築のための基礎的作業を進める。最終年度に『西洋史史料学の基礎』(仮題)の出版を予定する。本研究によって、西洋史各分野での公私の区分の相違が明らかとなり、分野を越えた意見交換が可能となる。

2. 研究スタッフ

【プロジェクト代表】
・島田 誠:学習院大学文学部教授(史学科)

・福井憲彦:学習院大学文学部教授(史学科)
・亀長洋子:学習院大学文学部助教授(史学科)
・関 哲行:流通経済大学教授
・芝 健介:東京女子大学教授
・網野公一:玉川大学助教授
・井上秀太郎:東海大学非常勤講師
・後藤秀和:学習院大学人文科学研究所客員所員
・樋口裕之:学習院大学人文科学研究所客員所員
・池津哲範:学習院大学大学院人文科学研究科史学専攻博士後期課程

活動年度:2002年度~2004年度

14年度:年間に6回の研究会で研究スタッフ間の意見交換を定期的に行い、2003年1月には公開講演会「イスラーム都市論における叙述史料と文書史料の比較」(三浦徹氏)を開催した。さらに8月と12月には研究スタッフによるオーストリアにおける史料調査を行った。 (詳細は『人文科学研究所報』2002年度版に掲載されています。)

15年度:年間4回の研究会を行った。うち1回は東京大学大学院の吉田光男氏を招き、「韓国朝鮮近世の記名史料-戸籍・族譜」 と題する講演会を開催した。この研究会には研究スタッフの他、他分野の院生や大学図書館スタッフも参加し、活発な議論がかわされた有意義なものとなった。 また、夏から秋にかけて、5名の研究スタッフによる海外現地調査が行われた。(詳細は『人文科学研究所報』2003年度版に掲載されています。)

16年度:年間4回の研究会を開催し、さらに計4回の海外現地調査を行なった。研究会のうち1回は学習院大学名誉教授の堀越孝一氏を招き、講演会を開催した。(詳細は『人文科学研究所報』2004年度版に掲載されています。)

4. 今後の活動予定

本プロジェクトは、2005年3月31日を以て終了いたしました。
ご協力下さった皆様に厚くお礼申し上げます。

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