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共同研究プロジェクト

杉山 直樹 助教授プロジェクト

『明治期以降におけるフランス哲学の受容に関する研究』
The Japanese Reception of French Thought
[Assistant Prof. Naoki Sugiyama]

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1. 目的・内容・期待される効果など

 明治期以降日本に導入されたさまざまの哲学思想の中で、特にフランス語圏の哲学を中心とした受容史的研究を行う。個々の思想家に見られる導入の具体相を調査すると同時に、その受容の姿を規定した背景、ならびにその受容(あるいは非受容)が日本における哲学観、哲学史概念、あるいは世界史把握などに与えてきた影響ないしバイアスについての考察を併せて行う。

 近代日本における「哲学」の受容を見るとき、ドイツ哲学からの影響の強さは以前から指摘されるところである。特に明治末以来、多くの哲学者が新カント派によって整理された哲学的諸概念と歴史観を用いつつ思索を進め、自分の思想を位置づけてきた。しかし西洋哲学は等質的ではなく、フランス語圏における哲学には別の発想があり、別の歴史的自己理解がある。その受容(と非受容)を鏡として、明治以降の日本における「哲学」の姿について検討を加えたい。これまでの研究状況を踏まえて、便宜的に二つのサブテーマを置く。(1)中江兆民の啓蒙思想導入といわゆる「大正生命主義」との間の時期を中心とするフランス思想受容。(2)大正期以降に本格的に活躍を始めた哲学者たち(三木清、和辻哲郎、三宅剛一他)とフランス哲学。

2. 研究スタッフ

【プロジェクト代表】
・杉山直樹:学習院大学文学部助教授(哲学科)

・酒井潔:学習院大学文学部教授(哲学科)
・福井憲彦:学習院大学文学部教授(史学科)
・望月太郎:大阪大学文学研究科助教授(2005年度より)
・増田靖彦:早稲田大学広域哲学研究所研究員(2006年度)
・鈴木由加里:東洋大学非常勤講師
・宮山昌治:学習院大学人文科学研究所客員所員(2005年度より)
・小切間佐穂:哲学専攻博士後期課程(2004年度まで)
・谷川ちひろ:哲学専攻博士後期課程
・長綱啓典:哲学専攻博士後期課程

3. 活動報告

16年度:4回の研究会の他、法政大学図書館所蔵の和辻哲郎文庫・三木清文庫の調査を行った。また、宮山昌治氏を招き、明治末期から昭和に至るベルクソン哲学の受容過程についての講演会を開催した。(詳細は『人文科学研究所報』2004年度版に掲載されています)

17年度:前年に続き、研究会の他、基本的な資料調査を行った。(1)に関しては、明治末から大正期にかけてのアカデミズム内部の傾向とあわせて、同時期の論壇・文壇にみられる「フランス哲学」をめぐっての言説を実証的に検討した。(2)については、三宅剛一の未公刊資料を整理し翻刻作業を行うと同時に、十分に検討されていない三木文庫(法政大学図書館)の調査を行った。また、山田弘明氏、安孫子信氏を招いて講演会を開催した。(詳細は『人文科学研究所報』2005年度版に掲載されています)

18年度:3回の研究会および2回の講演会を開催した。他に今年度の成果として、メンバーによる論文2本が『人文』第5号に掲載、『哲学会雑誌』『哲学雑誌』収録書誌データ(明治21年~大正15年)データベースの作成、三宅剛一講義録の翻刻、がある。また、『ドイツ観念論に於ける人間存在の把握』(学習院大学研究叢書36)を刊行した。(詳細は『人文科学研究所報』2006年度版に掲載されています)

4. 今後の活動予定

本プロジェクトは、2007年3月31日をもって終了いたしました。ご協力くださった皆様に厚く御礼申し上げます。

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