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共同研究プロジェクト

十川 信介 教授プロジェクト

『幕末・明治語と文学』
[Prof. Shinsuke Togawa]

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1. 目的・内容・期待される効果など

 幕末・明治語、特に漢語(白話)、洋語がどのように受け入れられ、日本語になっていったかという様相を、まず語彙的な面から考え、それを基礎として、日本語表現、日本文学がどのように変化したか、あるいは、変化しないか、を明らかにしたい。
 この問題は日本の近代化や日本文化の根幹に関わる基本的な研究課題であり、その調査対象も極めて広い。従来も国語研究所を中心として語彙調査が行われて来てはいるが、それらは依然として個々のテクストの範囲内に留まり、文化全般との脈絡を欠く恨みがある。もちろん限られた時間とメンバーでは課題のすべてをカバーすることは不可能なので、本プロジェクトではその第1段階として、具体的課題を和語による漢語・洋語の傍訓、または、漢字によって和語をどう表現するかという点に限定し(例:龍動ロンドン、倫敦ロンドン、嫉妬ジンスケなど)、調査対象も明治20(1886)年頃までの小新聞(読売新聞、いろは新聞、東京絵入新聞など)や漢語都々逸、英語都々逸、漢文戯作などの大衆的資料、明治期に輩出した漢語辞書、江戸時代からの節用集類に限ることとする。各メンバーがそれぞれの調査結果を持ち寄り、年数回の研究会を通して討論を重ねる。また各年度1回のシンポジウムまたは講演会を予定している。それらを通じて文明開化の流れは言語面から捉えられるはずであり、やがては「幕末明治時代語辞典」のようなかたちで結実することを期待している。

2. 研究スタッフ

【プロジェクト代表】
・十川 信介:学習院大学文学部教授(日本語日本文学科)

・安部 清哉:学習院大学文学部教授(日本語日本文学科)
・谷川 恵一:国文学研究資料館部長
・中丸 宣明:山梨大学助教授
・宗像 和重:早稲田大学教授
・山田 俊治:横浜市立大学教授
・ロバート・キャンベル:東京大学大学院教授

3. 活動報告

2005年度:絵入自由新聞(明治15~20年分)を調査し3度の研究会を開いた。その結果、傍訓・当て字の分類の方向、または特色がある程度見えて来た。(詳細は『学習院大学人文科学研究所報』2005年度版に掲載されています)

2006年度:昨年度に引き続き、『絵入自由新聞』における論説・雑報・小説・布告等、各欄の文体や表記の調査を行い、江戸文学や明治初期中国文学の専門家を招いて、研究会を開催した。(詳細は『学習院大学人文科学研究所報』2006年度版に掲載されています)

4. 今後の活動予定

本プロジェクトは2007年3月31日をもって終了いたしました。
ご協力下さった皆様に厚く御礼申し上げます。

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