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共同研究プロジェクト

伊藤 研一 教授プロジェクト

『初心臨床心理士によるスクール・カウンセリング実践の意義と問題点』

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1. 目的・内容・期待される効果など

 初心の臨床心理士が行なうスクール・カウンセリングの実践を検討し、その意義と問題点を検討する。
 臨床心理学の出発点はフロイトの精神分析に始まる、生活場面から切り離された個別密室型面接である。しかし、現在、学校の中に入り込んで行なうスクール・カウンセリング実践が急速に増えている。学校場面は個別心理臨床における方法論がそのままでは通じにくく、高いレベルの心理臨床能力を求められる場である。しかもこのスクール・カウンセリングのほうが従来の個別心理臨床領域よりも心理臨床家の需要が多く、大学院修士課程修了直後から勤務し始めることが増えている。多くの初心の臨床家は、大学院で教えられたこととのギャップに悩みつつ心もとなさを抱えながら、必死に活動しているのが実情である。本研究はこの初心の臨床家の実践事例をていねいに検討することで、どのような困難にぶつかり、それを乗り越えるにはどうしたらいいのか、ということについて方向性を見出し、初心者が行なうスクール・カウンセリングの意義と問題点を見出すことを目的とする。そのことはそれぞれの心理臨床家にとっても貴重なサポート源となり、クライエントにも役立ち、さらには大学院で教える教員にとってもカリキュラムや授業内容を考える際にも重要な意味があろう。

2. 研究スタッフ

【プロジェクト代表】
・伊藤 研一:学習院大学文学部教授(心理学科)

・吉川 眞理:学習院大学文学部准教授(心理学科)
・小林 孝雄:文教大学専任講師
・栗原 文子:駒澤大学コミュニティ・ケアセンター専任相談員
・安藤聡一朗:学習院大学人文科学研究科心理学専攻博士後期課程
・酒井 藤子:学習院大学人文科学研究科心理学専攻博士後期課程
・中西 佳恵:学習院大学人文科学研究科心理学専攻博士後期課程
・飯塚 幸子:学習院大学人文科学研究科心理学専攻博士後期課程
・小塩 佳子:学習院大学人文科学研究科心理学専攻博士後期課程
・小島 綾子:学習院大学人文科学研究科心理学専攻博士後期課程

3. 活動報告

17年度:5回の研究会を開催した。その事例検討会によって、初心心理臨床家がスクール・カウンセリングを行なう場合に、①心理臨床家と教員との視点の違い、②教職員との連係の持ち方、③校長、教頭、学年主任などの管理職との関係、③カウンセリング・ルームの運営の仕方などが重要なポイントとして浮かび上がってきた。(詳細は『学習院大学人文科学研究所報』2005年度版に掲載されています)

18年度:4 回の研究会を開催した。心理臨床の研究の基本は事例研究であるので、ケース・カンファレンス方式で、参加者が事例発表を行ない、参加者全員で検討し、研究スタッフがコメントを行なった。会によっては外部講師を招いて講演会を催した。また、前年度の研究会の成果を日本心理臨床学会第25回大会においてポスター発表し、スタッフと参加者で討議した。(詳細は『学習院大学人文科学研究所報』2006年度版に掲載されています)

19年度:4回の研究会を開催した。 昨年度の活動の中でセラピスト・フォーカシングが初心心理臨床家に対する援助として有効であるという手応えを得たので ケース・カンファレンスと並行プログラムとして導入した。

4. 今後の活動予定

本プロジェクトは2008年3月31日をもって終了いたしました。
ご協力下さった皆様に厚く御礼申し上げます。

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