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共同研究プロジェクト

竹綱 誠一郎 教授プロジェクト

『児童の算数文章問題解決プロセスに関する心理学的研究』
[Prof.Seiichiro Taketsuna]

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1. 目的・内容・期待される効果など

 小学校算数科において文章問題を苦手とする児童が多いことは、一般的によく知られている。文章問題を解決するためには、児童は(1)文章を読んで理解し、(2)文章の中の既知数と未知数の関係を把握し、(3)立式し、(4)計算を行うというすべてのステップを正確に行わなければならない。この問題解決プロセスにおける誤りのほとんどが(1)(2)(3)のステップにおいて生じることや、算数学力と同様に文章読解力など国語学力の重要性も指摘されている(例えば、Riley et al.、佐伯他、池田・竹綱などの研究がある)。本研究の目的は、国語教育と算数教育の実践研究に携わっている現職教員と教育心理学あるいは認知心理学の研究者との共同研究によって、児童の算数文章問題解決プロセスについて検討することである。
 2002年4月に施行された新学習指導要領により、小学校では算数科等の授業時間数が大幅に削減された(算数科では約15%削減)。そして、このことによって児童の学力低下が起こるのではないかという懸念があるのも事実である。2002年度~16年度に竹綱が研究代表者として実施した共同研究プロジェクトでは、学力低下を阻止するものとして児童・生徒の自己調整的な動機づけに着目し、学習への動機づけを維持する自己調整モデルの構築を試みた。本共同研究プロジェクトでは、学力の指標となる課題として、算数文章問題を取り上げた。本プロジェクトの特徴は、小学校において実践研究に携わっている現職教員との共同研究を行う点にある。教育心理学、認知心理学および学習心理学の知見に基づいた理論的な視点と小学校教員の実践的な視点から算数文章問題解決プロセスを吟味することにより、興味深い知見が見出されることが期待される。また、児童の算数学力向上につながる具体的な示唆や提案を提供する可能性も見込まれる。

2. 研究スタッフ

【プロジェクト代表】
・竹綱誠一郎:学習院大学文学部教授(心理学科)

・篠原  彰一:学習院大学文学部教授(心理学科)
・藤井  正人:新潟市立新津第一小学校教諭
・佐藤  朗子:新潟青陵大学教授
・小方  涼子:学習院大学非常勤講師
・山田   歩:学習院大学心理学科助教

3. 活動報告

2005年度:児童の算数文章題解決プロセスに関する理論的資料と教育実践資料の収集を行った。理論的資料の収集は教育心理学・認知心理学・教授心理学・算数教育などの内外の文献を集めた。また、教育実践資料の収集は算数・数学教育関連の学会発表や小学校算数科の授業観察およびその授業の指導案によって集めた。(詳細は『人文科学研究所報』2005年度版に掲載されています)

2006年度:前年度同様、教育心理学、認知心理学、発達心理学および算数教育の分野において発表された論文や心理学関連の学会から最新情報も収集した。また、小学校3年生・4年生・5年生を対象に算数文章題調査を実施した(5年生に限定して、作文力を測定する調査も行った)。(詳細は『人文科学研究所報』2006年度版に掲載されています)

2007年度:前年度の研究成果の学会発表、前年度の調査結果を補足するための調査実施、前年度の調査データの再分析および算数文章題に関する実践的な研究に 焦点を当てた論文収集の活動を行った。また、日本教育心理学会第49回総会において発表した。(詳細は『人文科学研究所報』2007年度版に掲載されています)

4. 今後の活動予定

本プロジェクトは2008年3月31日をもって終了いたしました。
ご協力下さった皆様に厚く御礼申し上げます。

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