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共同研究プロジェクト

吉川 眞理 准教授プロジェクト

『事例研究法と守秘義務の倫理的葛藤の解決プロセスに関する研究』

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1. 目的・内容・期待される効果など

本研究の目的・内容: 事例研究法は日本の臨床心理学の発展に重要な役割を担っている。一方、個人情報保護法の導入により、事例研究法のもつ守秘義務との倫理葛藤が浮かび上がってきた。本研究では、倫理葛藤を、Aの原理かBの原理の二者択一ではなく、二つの原理の葛藤を解決するプロセスとしてとらえ、これをパス解析により検証する。分析は、経験年数によって分けられたグループごとに行い、心理臨床における倫理意識は教条主義的に押し付けられるものでなく、自ら研鑽する仲間とともに形成するものであるという認識を高める一助とする。

本研究の意義:今日的な倫理的課題をテーマに選んでいる点があげられる。また、従来、倫理は研究される対象より、むしろ論じられる対象となりがちであったが、このように倫理葛藤を解決するプロセスそのものに着目することによって、優れて臨床的であり、かつ客観性のある科学的なアプローチが可能となった。

2. 研究スタッフ

【研究代表者】
・吉川 眞理:学習院大学 文学部准教授(心理学科)
【所員】
・伊藤 研一:学習院大学 文学部教授
・川嵜 克哲:学習院大学 文学部教授
【客員所員】
・小林 孝雄:文教大学専任講師
・森谷 寛之:京都文教大学教授
・西井 克泰:武庫川女子大学教授
【リサーチ・アシスタント】
・中西 佳江:学習院大学大学院 人文科学研究科博士後期課程
・飯塚 幸子:学習院大学大学院 人文科学研究科博士後期課程
・地井 和也:学習院大学大学院 人文科学研究科博士後期課程
・土井 孝典:学習院大学大学院 人文科学研究科博士後期課程
・永嶋 茜 :学習院大学大学院 人文科学研究科博士後期課程
・八鍬 博敏:学習院大学大学院 人文科学研究科博士後期課程
・小塩 佳子:学習院大学大学院 人文科学研究科博士後期課程
・小島 綾子:学習院大学大学院 人文科学研究科博士後期課程

活動年度:2007年度~2009年度

2007年度:主として、アメリカの心理臨床の倫理に関する現地視察をおこない、心理臨床倫理に関する最新のトピックや状況をとらえることができた。(詳細は『人文科学研究所報』2007年度版に掲載されています。)

2008年度:4回に研究会で事例検討とセラピスト・フォーカシングを行った。また、第4回研究会では、精神科医の山登敬之氏をスーパーバイザーに招いての事例検討を行った。(詳細は『人文科学研究所報』2008年度版に掲載されています。)

2009年度:前年度に事例セッションにおいて施行された、事例研究が臨床心理士訓練においてどのように体験されているかについての体験について問う質問紙の結果について、因子分析を行い、2009年8月6日から9日にかけて、カナダのトロントで行われた第117回アメリカ心理学会において発表を行った。(詳細は『人文科学研究所報』2009年度版に掲載されています。)

4. 今後の活動予定

本プロジェクトは2010年3月31日をもって終了いたしました。ご協力下さった皆様に厚く御礼申し上げます。

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