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共同研究プロジェクト

佐野 みどり 教授プロジェクト

『前近代日本の造形文化における古典知の構築』
[Prof. Midori Sano]

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1. 目的・内容・期待される効果など

 前近代日本の造形を「古典」との相関から読み解く議論は、これまで主題研究や様式研究において成果を挙げてきた。だが、そもそも中近世において古典は如何にして「古典」となるのか、という根源的な問いが残されている。古典がいかなる価値のシステムを作り上げていくのか、古典はいかなる創造のフレームとなっていくのか、その価値システムはいかなる境界を創出したのか。本研究プロジェクトは、あくまでも造形的実践に寄り添いつつ、「古典」の力を具体的に解明していくことを目的とする。主題としての古典(原基)、方法としての古典(様式や図像の型)、価値システムとしての古典権威(認識フレーム)を三つの柱として中近世美術の場と作品を分析していくが、議論を深め展開し古典知の構築という命題下に統合するために、美術史、文学、思想史、歴史学など諸学協働で調査、研究にあたる。当年度の成果としては、唐物をめぐる共同研究を基とするワークショップと「型の継承と古典知の構築」研究集会を予定している。

2. 研究スタッフ

【研究代表者】
・佐野みどり :学習院大学文学部教授(哲学科)
【所員】
・島尾  新 :学習院大学文学部教授(哲学科)
・荒川 正明 :学習院大学文学部教授(哲学科)
・松波 直弘 :学習院大学文学部准教授(哲学科)
【客員所員】
・藤原 重雄 :東京大学史料編纂所准教授
・水野 僚子 :日本女子大学准教授
・三戸 信恵 :学習院大学非常勤講師
・川名 淳子 :愛知学院大学教授
・青木 慎一 :学習院大学非常勤講師
・隠岐由紀子 :元・平成帝京大学教員
・金  寅圭 :学習院大学非常勤講師
・関 彩与子 :学習院大学文学部哲学科助教

活動年度:2018年度~2020年度

2018年度:計4回の研究会・研究集会を行った。海外調査1回(アメリカ、2018年6月12~21日)、国内調査多数を実施した。充実した調査活動の成果は、画像整理など鋭意進めるとともに、研究成果は速やかに研究会で調査報告を行った。調査活動において特筆すべきことは、近世物語絵画の中でも研究が進んでいない曽我物語図に関して取り組んでおり、今後大きな展開が見込めると期待している。
ミシガン大学でのシンポジウム(6月13日)では、日本美術における古典知について日米の若手研究者による研究発表と参加者との活発な質疑応答が行われた。日米の研究最前線の交流は、若手研究者にとって今後の豊かな実りを結ぶこととなると期待している。(以上の活動の詳細は『学習院大学人文科学研究所報』2018年度版に掲載されています)

4. 今後の活動予定

人文科学研究所での、本プロジェクトは終了いたしました。ご協力くださった皆様にあつく御礼申し上げます。

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