
法学・政治学の魅力
- 法学部長
- 山下 純司Yamashita Yoshikazu
法学部が提供する法学と政治学は、社会のさまざまな課題を解決し、より良い社会を実現するために、社会の仕組みについて考える学問です。この学問によって身につく考え方は、社会のさまざまな場面で役立ちます。
例をあげましょう。学校の体育館を、複数の運動部が共同で利用しているとします。ところが台風による雨漏りで、体育館の半分が当面の間使えなくなりました。雨漏りのあった場所を使っていた部活動は、中断してしまいました。中断された部活動を再開するため、全ての運動部のキャプテンたちで話し合いをする場面を想像してみましょう。
運動部の中には、体育館を使わない部もあるでしょう。また雨の日だけ体育館を使う部や、いつも体育館を使うけれども、雨漏りのあった場所は使っていなかった部もあるかもしれません。いろいろな立場があるなかで、半分しか使えなくなった体育館を、どうやって利用していくか、説得や駆け引きが行われます。これが「政治」であり、こうした人間の営みを研究するのが「政治学」です。
次に、同じような問題がまた起きる場合に備えて、運動施設利用についての規則を作るとします。たとえば、「すべての運動部は、体育館やグラウンドを公平に使用する権利がある」といった規則はどうでしょう。しかし、「公平に使用する」とは、どういう意味でしょうか。同じ面積、同じ時間、好きな施設を利用できるということでしょうか。そうすると、野球部に体育館を使う権利や、卓球部にグラウンドを使う権利を認めないと、不公平ということになるのでしょうか。人の作った規則の意味を考える学問が「法学」であり、そこでの研究対象が「法」ということになります。
人々が社会生活を送る上で、立場の違いを越えて協力し合うことや、定めたルールに従って行動することは、とても重要なことです。しかし、協力の仕方やルールの定め方は一つではなく、やり方次第で社会は良くも悪くもなりうるのです。だからこそ、より良い社会を実現しようと思うなら、法や政治について深く学ぶ必要があります。その知識は、あなた自身を公平で信頼できる人にしてくれると共に、あなたの周囲の人々を幸せにしてくれるはずです。