理科

理科の目標

  1. 1自然に親しみ、自然を愛する心を持ち、さらには地球環境の未来や命の大切さについて、深く考えることができる。
  2. 2自然の事物・現象についての理解を深め、科学的なものの見方・考え方を身につけることで、自分の考えを表現することができる。
  3. 3見通しを持って実験や観察を行うことで、問題解決に役立てることができる。

取り組み

  • 自然に親しむ活動を重視しているとともに、自然を愛する心情を育てることにも力を注いでいます。
  • 議論・討論を通して、論理的な思考を育てるように努めています。また、ノ ー ト指導にも力を入れています。
  • 実験や観察といった科学ならではの方法にも十分親しませるように配慮しています。
  • 学習院の一貫教育プログラムとして、最先端の科学について興味関心が持てるような活動を行っています。

実験・観察

理科室にて

実験・観察は、 自然の事物や現象に、直接、接したり働きかけたりすることで、 自然についての理解や認識を深める、 理科ならではの活動です。それだけに、 素材を吟味するとともに、指導法にも工夫を凝らすように努めています。

3年生 カイコガの幼虫の観察

5年生 電磁石の実験

6年生 燃焼の実験

近光園や校庭にて

単に理科室内での活動にとどめることなく、素材や場を、校庭や屋外庭園としての近光園、さらには学校の外にも広く求めるようにしています。校庭の樹木や近光園の身近な植物の観察を通して、四季折々の植物の様子をとらえさせるようにしています。例えば、一般には雑草としか呼ばれない野草にも様々な種類があること、植物として生き抜くための確かなしくみや形を持ち合わせていることなどに気付かせるようにしています。そして、野草としてのたくましさだけでなく、その愛らしさにも着目させることで、身近な植物としての親しみを持たせ、小さな命を敬うことができるように、自然と向き合う時間を大切にしています。

4年生 内藤かぼちゃの花の観察

6年生 サツマイモの収穫

近光園には、わずかな面積ではありますが、草花栽培用の花壇に加えて、農作物栽培用の畑があります。この畑を利用して、理科の授業時間や朝の「わかばの時間」を使って、農作物を中心にした栽培活動を行っています。植物を科学的に観察し理解するだけでなく、ふだんは都会の生活に明け暮れている児童に、食材としての農作物がどのようにして得られるのかということの一端をとらえさせるようにしています。収穫した作物は、家庭科の調理実習や給食の食材として利用します。それをきっかけに、野菜嫌いの児童の見方や考え方が変わることもあるようです。自らの手で栽培し、収穫することの意味を理解し、それをいただく喜びを味わうよい機会ともなっています。

校外学習にて

校外学習の場面では、海山川といったその土地の自然環境を生かした野外ならではの活動を通して、自然の姿を自らの感覚でとらえさせるようにしています。

3年生 石の観察(埼玉)

第3学年では埼玉県荒川中流域で活動を実施します。流れる川や川原の石、砂の様子の観察を通して、流水の作用の規模の大きさやそのはたらきをとらえさせています。荒川は、その上流に石灰岩地帯があるため、石灰岩が川原によく見られます。石灰岩特有の酸に溶ける性質に気付かせるとともに、鍾乳洞などの地形や酸性雨の学習などにも発展させています。この他、岩石や鉱物についての興味関心を持たせるようにも配慮しています。

第4学年では千葉県海岸での磯遊びを通して、海辺の生物の観察を行っています。ちょっとした潮だまりや岩肌にも、実に様々な生き物が棲んでいることに驚かされます。そして、直接、自分の手で触れたり、自分の目で確かめたりすることを通して、 海という環境に適応し、確かに生き抜いている生き物たちの様子に気付かせるようにしています。 また、現地での学習だけでなく、採集活動を通して持ち帰った物については、標本作りに取り組むなど、じっくりと時間をかけて自然の姿をとらえさせるようにしています。

4年生 磯の生物の観察(千葉)

標本作りでは、自分が拾った貝殻について、何の種であるか図鑑で調べ、ラベルを作成し、整理します。この活動を通して、採集と標本作りという自然を研究する方法の一端を体験させると共に、種名(和名・学名)の意味を知らせるようにしています。できあがった標本は、初等科祭で展示し、多くの方々に見てもらっています。

5年生 火山活動の観察(福島)

第5学年では会津磐梯にて、ハイキングをしながら森林や高山など平地とは異なった山の自然の観察を行います。実際に磐梯山に登ったり、岩屑なだれによって長瀬川がせき止められてできた桧原湖や五色沼を訪れたりすることで、1888年の磐梯山の噴火によって、目の前に広がる豊かな自然が形成されてきたことを肌で感じられるように配慮しています。

第6学年では静岡県沼津での海浜教育の際に海産プランクトンの観察を行います。ふだん観察をする機会が少ない海のプランクトンを、時間をかけてじっくりと顕微鏡で観察します。さまざまな形のものが多数見られますが、生物の多様性を知るとともに、これらのミクロの生き物たちが、海に暮らすたくさんの生命を支えているという事実に改めて驚かされます。

6年生 プランクトンの観察(沼津)

宿泊を伴う校外学習では、就寝前の夜の時間に、その季節折々の星や星座の観察を行っています。北天の北極星、北極星を見つける目印にもなる北斗七星、北斗七星から南天のおとめ座スピカに至る長大な「春の大曲線」、春を代表する獅子座などを観察します。肉眼でも観察できる金星、火星、土星なども対象になることがあります。
なお、観察や採集活動については、当然のことですが、現地の自然破壊につながらないように配慮して行っています。

自由研究について

授業とは直接的には結び付きませんが、毎年、多くの児童が、夏休みを利用して、理科の自由研究に取り組んでいます。秋の初等科祭に全作品を一斉に展示するとともに、提出された研究レポートや作品の紹介文がすべて掲載された印刷物を配付しています。自分自身が研究を成し遂げたその達成感や充実感を改めて味わうとともに、他の友だちのいろいろな研究やその成果を目の当たりにすることで、新たな興味関心を持つよい機会になっています。それぞれの自由研究の質は高く、コンクール等学校外でも評価をいただくこともあります。

議論・討論

事象の根本的な理解を促す

3年生 原子・分子の学習

学習内容は、学習指導要領に示された内容に準拠し、物質・エネルギー、生命・地球の二つの領域で構成しています。
ただし、科学的な見方や考え方を育て、自然認識の深まりを促す観点から、児童の思考・認識・発達段階などを考慮し、独自の工夫を凝らしています。自然の事物現象を原子・分子レベルからとらえさせたり、質量保存の法則のような自然認識の上での根本的な概念を小学生なりに理解させたりするために、一部、学習指導要領には示されていない内容を取り入れたり、そのための単元を特設したりしています。

その一例が、第3学年で行っている「もしも原子が見えたなら」の単元です。空気中に存在する分子の1億倍の大きさの模型工作を通して、原子・分子レベルから物質の世界を理解するためのイメージが持てるようにしています。

議論・討論を通して論理的な思考を育てるように努めています。目の前に提起された問題について、自ら予想を立て、その理由について発表し合います。そして、討論を重ねる中、論点が理解されたところで実験をすることで、結果についての理解が一段と深まります。
また、ノート指導にも力を入れています。ノートを書くことについては、基本的に、児童の自由意思にまかせていますが、提出されたノートには丁寧に目を通し、コメントを書き込むように努めています。児童とのコミュニケーションの方法の一つとしても機能しています。

児童ノートの一例

書くことを通して、児童は、自分自身のペースで論理的な思考や自然についての認識を深め、それがさらに次への興味関心や意欲の向上につながっていくようです。よい調べやまとめについては、例示することで、他の児童の参考にすると共に、広く自然全般に興味関心の目を向けさせるように配慮しています。

学習院一貫教育プログラム

学習院大学理学部の「研究体験」や「電子顕微鏡体験教室」など、一貫教育校ならではの良さを活かしています。

研究体験

「研究体験」は、学習院大学理学部の物理学科・化学科・生命科学科が総力を挙げて、毎年夏休みに、初等科高学年の児童のために開催している実験教室です。大学の教授陣に加えて、大学生・大学院生が多数参加してチームを結成し、様々な実験を体験させてくれます。ふだんの初等科の理科授業では体験することのできない、大学理学部ならではの機材や薬品を使っての実験に、児童はたいへん興味関心を示します。そして、実験の楽しさや奥深さを知ることで、理科についての意欲がいっそう高まります。

「電子顕微鏡体験教室」は、医学生物学電子顕微鏡技術学会と多数の電子顕微鏡関連会社、そして学習院大学理学部の協力のもと、毎年夏休みに、初等科高学年の児童を対象として開催している教室です。事前学習の中で気になったものを各自が持ち寄り、専門家の指導を直接受けながら、児童自身が電子顕微鏡を操作し、何万倍にも拡大された世界の立体的な画像を観察することで、ミクロな視点から自然界の不思議な姿を見ることができます。身近にあるものでも、電子顕微鏡を通して見える世界は虫めがねや光学顕微鏡で見える世界とは全く別のもののように見えるため、自然の不思議や科学への興味がいっそう深まります。

電子顕微鏡体験教室

どちらも夏休みということもあり、自由参加としていますが、毎年、多数の児童が参加しています。

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